中江藤樹(滋賀県高島市・1608~1648)

日本の陽明学の祖

 

 

エピソード①

お母さんが住む近江までは、長い長い道のりです。

藤樹はやっとの思いでたどり着きました。

「お母さん、良い薬を持ってきましたよ」

 

お母さんは藤樹を抱きしめたい気持ちでいっぱいでしたが

ぐっとこらえて、こう言いました。

「お前がしっかり勉強して

立派な人になってくれるほうが

母さんはうれしいのよ。帰りなさい」

「えっ・・・はい・・・」

 

帰っていく藤樹を

お母さんはいつまでも見送りました。

 

 

エピソード②

藤樹は病気のため、41歳で亡くなりました。

亡くなって100年経っても、多くの人が

お墓参りに訪れます。

 

ある日、村に来たお侍さんが

「藤樹先生のお墓はどこですか」と尋ねました。

村人は「ご案内します。少しお待ちください」と言うと

きれいな着物に着替えてきました。藤樹を敬う気持ちから

わざわざ着替えたのです。

お侍さんは改めて藤樹のすばらしさを思い、心を打たれました。