塙 保己一(埼玉県本庄市児玉町 1746~1821)

 

7歳の時に視力を失う

40年以上かけて『群書類従』を完成

 

 

 

エピソード①

ある夏の夜のこと。勉強がしたいという保己一のために

お侍の奥さまが蚊帳の中から本を読んで聞かせていました。

ふと見ると、保己一の両手はひもで結ばれています。

奥さまはびっくり!

「どうしてそんなことをしているのですか?」

 

「蚊が飛んできたら知らないうちに手で払うかもしれません。

それでは集中して聞けません」

 

保己一の姿に、奥さまは感動しました。

その後も、保己一は勉強を続け、立派な先生からいろいろ学びました。

 

 

エピソード②

本を作り始めた保己一は、ある版木師に仕事を頼むことにしました。

実は20年前、その版木師の店のそばで下駄の鼻緒が切れて

助けを求めた保己一に、冷たくした人でした。

 

「初めまして・・・」とあいさつする版木師に

保己一は昔のことを語り最後にこう言いました。

「私はお礼が言いたくて、あなたを呼んだのです。

あの出来事のおかげで、ここまで頑張れました」

保己一は決して恨んでいたわけではなかったのです。