1966年6月30日悟司は家族に黙って武道館のビートルズ公演を観にいった・・・
テケテケのどこが悪い!長髪の何が悪い!ビートルズのどこが悪い!
今から40年前エレキは不良がやるものといわれた時代の東京のはずれ、花水木商店街
で繰り広げられるエレキに魅せられた青年のほろ苦い青春ブログドラマ
今まで文章など書いたことがない音子が、勢いだけで綴っていく創作ドラマ。本当にあった話半分、
作り話半分で、結末も決めず書きながら作っていくブログドラマです。
感想やコメントは、目次のコメント欄のみとしていますので、目次直下のコメント欄にお願いします。
第42話 コピー
高校2年の秋も終わりの頃・・・・・・花水木商店街は、冬支度が始まった。
個々の店はすでに、冬の商戦向け商品のディスプレーがされていた。
悟司達のエレキギターの練習は続き、
バンド?のような形になっていく中で、悟司達の髪も伸び、
ルックスもだんだんビートルズっぽく?なっていった。
嘉岳の部屋に集まって練習するときは、ほとんどビートルズのコピーをしていた。
悟司と健太の2人演奏は、耳からのコピーだったが彼らの耳の良さはしっかりしたもので、
テクニックを日に日に吸収していくのが目にみえていたし、この頃になると2人は歌も
同時に歌うようになっていた。
真面目な性格のドラムの誠は、実際にドラムはないのだけれど、
古いマンガ本をドラムにみたて、それを叩いて練習していた。
これも練習するには大きな音はしない優れたもので、誠はそのマンガ本が
ボロボロになるまで叩いて練習していた。
さて・・・・
ギターより少ない4本の弦だから・・・・そっちの方が簡単だといい、
安易にベースギターに転向した嘉岳はというと、
どうやら、リズム感に問題があるのか、いわゆる合奏(笑)になると、
微妙にリズムがずれ、他の楽器のリズムもくずれていくという・・・・・(汗)
健太
「嘉岳!なんで、そこんとこ・・・・出だし遅れるんだよ!!!」
悟司
「音をお前、良く聴きなよ!聴きながら弾いてる?」
嘉岳
「・・・・・・・・うん・・・・聴いてるつもりなんだけどな・・・・」
誠
「僕も、嘉岳のリズムに引き込まれちゃうよぉ!!!」
遊びにきていた晴美と真知子も一応彼女達らしいエールを送るのだった。
真知子
「嘉岳ぼっちゃん!頑張れ~~~!ギターが弾けると女の子にもてるわよ~~~!」
晴美
「ポールなんだからね!!!」
嘉岳
「俺・・・・・やっぱ楽器無理かも?・・・」
晴美たちのエールに火がつくと思いきや、結果はその反対で、
嘉岳ががっくりと肩を落とし、ベースギターを床に置いた。
嘉岳
「っていうか、アンプもドラムもないのに、リズムだの下手だの・・・・もないよなっ!」
悟司と健太
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
嘉岳のこの言葉だけは、ずれていなかったのだった・・・・・・
第41話 騒々しい音
悟司は、勝手口からおばちゃんの家にあがった。
おばちゃん
「サトちゃんが頼みたいことって、めずらしいねぇ・・・・
それもそうだけど・・・・ナンなの?その髪の毛・・・(苦笑)
今流行りのビートルズの真似なのかい?はははは・・・。
気持ちわからないこともないけど、なんか・・・もっさりしてるなぁ・・・・(笑)
決して綺麗とは思えない!いい男が台無しだよ。」
悟司
「おばちゃんにはわからないだろうけど、今の若者は・・・・これよぉ!
こういうのが、かこいい!っていうのさ!」
そういいながら悟司は少し長くなった襟足の髪の毛をおばちゃんにみせた。
おばちゃんは醤油おせんべいとお茶を出してくれた。
悟司
「こうやってね、髪伸ばしたり・・・・・エレキやったりするやつを、大人は・・・
不良呼ばわりしてね・・・とうとう、うちのおふくろさん・・・・受験が終わるまで
エレキ禁止っていわれてさ。でも今、松竹湯の嘉岳たちとバンドやり始めてて・・・・
おもしろくなってきたところなんだよ。家でやるな!っていわれて、エレキも家に
置いておける感じじゃなくなってさ。
そこでおばちゃんに頼みは、ここから・・・・
ギターを置かせてくれないかな?在庫の倉庫でもいいんだけどな・・・・
夕方とか、夜とか来て練習したいんだ。」
そういって悟司は、ギターをおばちゃんにみせた。
おばちゃん
「ほほーこれがテケテケってやつだね・・・・おばちゃんも知ってる・・・!
バタヤンもこれ使って歌も歌ってる!!!電気ギターでしょ?」
悟司
「バタヤン?って・・・田端義男?・・・・・う・・・ちょっと違うんだけど・・・・(汗)
まいっか!それでわかるんなら・・・!!!そう電気ギター・・・・」
おばちゃん
「そうだ!加山雄三?・・・・エレキ!!!」
悟司
「そうそう・・・さすがおばちゃん!話が早い!長髪のビートルズの・・・・・(汗・・・)」
おばちゃん
「あの気が狂ったみたいな連中の音楽のギターかい?これが?テケテケって音の?」
悟司
「そう!テケテケテケって音のする・・・・(汗)」
おばちゃん
「ここで練習って・・・・狂ったような、あの大きな音がでるのは困る!!!」
悟司
「・・・あの・・・音は出ない・・・出ない!大きな音はでない!!!
電気に繋がないと・・・・音は出ないから・・・・。」
おばちゃん
「音が出ないって????どういう意味だかわからない・・・
ビートルズといえば、騒々しい音だろ?」
悟司は、
「弾いてみるから・・・・これくらいの音だから・・・・」
そう言って、弾いてみようとすると、おばちゃんは両耳をふさいぎ、肩をすぼめ、
音が鳴り出すのを待った。
悟司
「おばちゃん・・・んな・・・オーバーだよ・・・・(笑)」
ジャリ~~~ン♪
悟司
「ほら・・・これくらい・・・だから。」
おばちゃん
「ははははは・・・・・いい音してる・・・・ホントだ・・・大きな音はしないんだね(爆笑)」
身構えていたおばちゃんだったが、スチールの弦だけの音ならば、あの騒音(笑)
はしないことを理解できたようだった。
おばちゃん
「置いてあげるのはいいけど、和恵さんが反対してるんでしょ?」
悟司
「うん・・・・受験勉強もちゃんとやるっていったんだけどね・・・理解は得られず・・・
頼めるのはおばちゃんだけだった・・・・ってわけ・・・ダメかなぁ?」
おばちゃん
「あんたのその可愛い目で、訴えられた日にゃ・・・
おばちゃんはイヤとはいえなくなる!(笑)
但し、勉強もちゃんとするんだよ!
ここを貸したはいいけど、それで大学いけなくなった
なんて思いたくないからねぇ。」
悟司
「大学には行くよ!約束する・・・・!!!」
おばちゃん
「よっしゃ!置かせてあげる・・・・いつでも弾きにおいで・・・・
和恵さんにも内緒にするよ。サトちゃんも要領よくやるんだね!」
悟司
「おばちゃんにいつか、電気の通った騒々しい音のテケテケをいつか聴かせるよ。」
おばちゃん
「大学合格もだからね・・・・」
悟司
「う・・・ぅ・・・・ぅん・・・・!(汗、、、、)」
夜はあまり遅くならないという約束をさせられたが、
倉庫ではなく当初の理想どうり、2階の空いている部屋を使っていいことになった。
この日の夜から、悟司のエレキギターはチャーミー履物店の2階に置かれたのだった。
第40話 勝手口
チャーミー履物店のおばちゃんは、
戦争未亡人で、一人暮らしをしながら花水木商店街で履物店をしていた。
結婚してすぐ旦那を戦争にとられ、子どもを儲ける間もなく未亡人になってしまった。
旦那が残した履物店を一人で切り盛りし、これまで未亡人を通した人だった。
子どもがいなかったこともあって、花水木商店街の子ども達とは仲良しで、
近所の子ども達は、みな「チャーミーのおばちゃん」と呼んで親しんでいた。
お店にいくと、おやつをくれたり家にあげてくれたりしてくれて、
子ども達には大人気のおばちゃんだった。
悟司の家の3件先隣だったので、家族のような付き合いをしていた。
悟司は新しい靴や履物が入荷すると、ときどきその陳列を手伝ったり、
ダンボールの荷降しを手伝ったりもしていた。
当時の隣近所は、あけっぴろげだった。家庭のそれぞれの事情を相互に理解していて、
困ったことがあると、助けを求めることもまた、それに対して手伝ったりする
ことも自然に行なわれていた。
悟司は、
親に禁止されたエレキギターをチャーミー履物店のおばちゃんの家の
2階に隠すことを考えた。
悟司は、エレキギターをおばちゃんの家に運び込んだ・・・・
悟司
「おばちゃん! おばちゃーん!」
エレキギターの大きなケースをさげて、おばちゃんの家の勝手口から、
おばちゃんを呼んだのだった。
悟司
「おばちゃん!頼みたいことがあるんだけど・・・・」
チャーミーのおばちゃん
「あら!サトちゃん!どうしたの????」
いつものエプロン姿のおばちゃんが窓から顔をのぞかせた。
第39話 隠し場所
親に反対されたからといって、簡単に止められるわけはない。
むしろ、反対されることで反抗心に火がついて、大きな火になってしまう
というのも青春だ。
悟司は、髪なんか絶対切るもんか!と思ったし・・・というより、
切ってやるものか!エレキをやめてやるもんか!という表現になる。
親がエレキをやるなというなら、家で・・・親の目の届くところで・・・
ギターを弾かなければいいわけで・・・
悟司はとりあえず、エレキギターの隠し場所をあれこれ考えるのだった。
そうだ!
チャーミーのおばちゃんの家の2階はどうか?
おばちゃんなら置かせてくれるかもしれない・・・・!
チャーミーのおばちゃんとは、
悟司の家の3件先にある履物店をやっているおばちゃんのことで、
気風のよさは花水木商店街No.1といわれ、花水木商店街にはなくてはならない
キャラクターとして知られていた人物である。
第38話 エレキ禁止
「大学受験が終わるまで、エレキは禁止だから!!!
悟司を不良仲間に入れられない!不良にさせられない!!!」
母和恵がヒステリックな声をあげた。
和恵
「エレキを借りてるのなら、すぐ返しなさい!大学が決まるまでエレキのことは
忘れて勉強して欲しい。今ならまだ間に合うんだから!!!」
悟司
「わかった!でもエレキは返さない・・・・勉強もやるけど、エレキもやる・・・・」
和恵
「無理!無理!そんなの無理!できるわけない!!!
このままだとどんどん不良になっていくのが目に見えるようだよ!」
悟司は母和恵のヒステリーを、
何か賢そうな言葉で鎮められる方法は見つけられないでした。
和恵
「エレキはとにかく禁止!それと・・・・その髪・・・・・明日床屋に行ってきなさい!
近所の人にはずかしいわよ!うちの稼業は食べ物を扱ってるんだからね。
不良以前に不潔にみえるじゃない!」
和恵の言葉は止まらなかった。。。
悟司
「うっせぇ!!!・・・いい加減もうほっといてくれよ!
不良にでもなんでもなってやる!」
悟司は家を飛びだした。
祖母常野
「悟司!悟司!待ちなさい!どこにいくの!!!」
常野の言葉が悟司の背中を追いかけてはいたが、悟司はそれを振り払い、
とにかくその場から逃げ出したい気持ちを優先させたのだった。
第37話 不良グループ
和恵
「悟司・・・・・・・なんか言うことはないの?」
悟司
「なにか?・・・・・って?」
和恵
「・・・・・・・・・塾から、これが送られてきてるのよ!!!何これ?
この点数!この成績!!!みてみなさいよ!」
悟司
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
塾から親に郵送されたテスト結果をゆっくり開けてみた。
和恵
「しかも・・・・・・夏休みの講座、受けてないってことになってるじゃない?」
悟司
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
和恵
「何よ!これ!いったいなんなのよ!夏休み・・・・・いったい何してたの!!!」
特別講座受けてたんじゃなかったの?」
祖母常野
「まあ、まあ、和恵さん、そんなに詰め寄ったら話せるものも話せなくなるよ・・・
落ち着いて・・・・悟司に話を聞こうじゃないの。。。」
台所仕事をしていた常野が、落ち着いた声で2人に割って入った。
常野
「悟司も、もうわかってる話なんだからちゃんと話すんだよ。
いいたいこともあるだろう?」
悟司
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
そのテストの結果の用紙には、悟司の小学生から今までやったきたテストで
取ったことのない、低い点数が並んでいた。
悟司
「特講は受けてない・・・・授業料はこづかいに化けた・・・・・
夏休みはーーー、勉強してない。。。」
和恵
「してない・・・・って・・・・ずっと特講にいってるもんだと思ってたわよ!
いったい、どこにいってたの?」
悟司
「嘉岳んところや・・・・・健太んち・・・・」
和恵
「もしかして・・・・・・・ギター借りたっていって時々ギター持ち帰っていたけど?」
悟司
「今、嘉岳たちとバンドやろうって話になってて・・・・それで・・・・」
和恵
「それで・・・・?夏休み中。。。。もしかして、ずっとテケテケやってたわけ?」
悟司
「そういうこと・・・・・」
和恵
「ひぇーーーー信じられない!!!バンド?バンドって何よ!」
悟司
「ロックバンドだよ。分かりやすくいうと、ビートルズみたいな・・・・」
和恵
「長髪グループの?不良グループの?例の問題グループ?あれのこと?」
常野
「ほほーーーー!今まで、ずっといい子だった悟司がねぇ・・・・ははは」
和恵
「お母さん!感心してる場合じゃないですよ!悟司は不良グループに入ってるんですよ!」
悟司
「不良じゃないってば!!!すぐそういう風にいうけど・・・」
和恵
「特講の授業料も、そのグループに使い込んだってわけ?」
悟司
「使い込んだって・・・・・過激な言い方だなぁ・・・・・」
和恵
「テケテケなんかやって、親に嘘ついて、お金使って・・・・これで不良じゃなきゃ、
いったい何なの!」
母和恵の最もな言い分に、反論に余地はない悟司であった。
第36話 郵送
悟司の高校2年の夏休みは、ビートルズで始まり、エレキで終わっていった。
週2回の塾は、のんべんだらりと出席はしていたものの、中身のないものだったし、
何より、塾の夏期特別講習というコースを受けることにして、実際はその授業料を
払い込まず、遊びに使ってしまった・・・・という・・・。
親にいつかはばれると思いながら、ずるずると夏休みを過ごしてしまったのだ。
休み明け、2学期のはじめに高校、塾ともに恒例の実力テストがあり、
この結果をみて受験を希望する大学を決めていくという、2年生とはいいながら、
進学高の受験生にとっては大事な時期に入っていた。
悟司の親は、悟司がエレキをやっているらしい・・・・
ということは気が付いてはいたが、それはそれとして、塾と夏期特講には
きっちり通い、勉強も毎日しっかりやっているものだと思っていたようだ。
というより、夏休みの間中、悟司は勉強しているような素振りをみせていた・・・
ともいえていた。
それが、とうとう・・・・・・・・・親にばれる日がやってきたのだった。
学校と塾のそれぞれの試験結果はでていた。
学校の方の試験結果はすぐさま親に伝わることはなかったが、
塾の方の試験結果は、試験終了後すぐに親宛てに郵送されることになっていた。
この日悟司は、
夕方から嘉岳の部屋で、メンバーが集まりバンドの練習をすることになっていた。
悟司
「ただいまーーーー!腹減ったーーーー! ばあちゃん、今夜は何?」
台所に立っていた祖母常野の背後から常野に声をかけた。
常野
「あ~お帰りぃ・・・・・・今夜は茄子の甘味噌がけだよ・・・・。」
悟司
「うっまそう!!!」
「悟司・・・・あんた・・・・・ちょっとここに座りなさい!」
常野とのほのぼのした会話に、母和恵のするどく切り込む声がした。
悟司は背中に冷たいものを感じたのだった。
・・・・・う・・・きたな?
第35話 エレキになった日
ステレオのマイクを繋ぐ穴からエレキに繋ぐ線を引っ張り出し、その線をギターに
繋げば、エレキの音としてステレオのスピーカーから音が出るのではないか?
電器屋の息子健太の作業は続いていた・・・・・・・
次第に健太の額から汗がふきだし、みるみるうちにしたたりはじめていた。
悟司
「おい!誠!・・・健太に扇風機あててやれよ!」
見守るメンバー達。
健太
「よ~っし!これで・・・・・・大丈夫なはず・・・・一応出来た・・・。」
悟司
「お~~~~ぅ!」
悟司が使っていた正確には嘉岳の赤いエレキは、ステレオとつながった。
見た目は、弱弱しく情けないジョイントだったが、構造的には間違ってはいない。
健太
「それじゃぁ・・・・電源入れていいよ。やってみ?・・・・」
悟司が、「ごくり・・・」と生唾を飲みこむ動作をオーバーにやったあと一呼吸おいて、
ジャァーーーン♪ と爪弾いた。
誰でも知ってるジャァーーーン♪・・・・聴き覚えのある、そのジャァーーーン♪は、
A Hard Day's Night の出だしのコードだった。
全員
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」
音の余韻を一瞬楽しんだあとで、
全員
「お~~~~~~~ぉ」
男だけの太い声は、不気味な一体感を感じるハーモニーとなり、
まるで男声合唱団のようになっていた。
ギターが、初めてエレキになった記念すべき瞬間だった。
第34話 家具調ステレオ
嘉岳の部屋に置かれていたステレオは、スピーカーと本体(ターンテーブルとラジオ)
は一体型であり、スピーカーの周りには彫刻がほどこされ、
家具調ステレオと称されていた。お金持ちの家のリビングや応接間になくてはならない
ゴージャスなインテリアアイテムだった。
当時の音は、低い音を立体的に響かせて、聴かせる・・・
というのが売りのステレオが主流で、
今現代から思えば・・・・・・・・
嘉岳の部屋の高級ステレオは決してロック向きではなかったが、
当時の高級ステレオといわれていたのもは総じてクラシックを聴くのに適して
作られていたように思える。
エレキがあっても、彼らはまだアンプを持っていなかった。
シャリシャリと金属の弦を奏でる音は確認していたが、エレキ音を聴いていなかった
のだった。
自分が奏でた音は電気を通したらどんな音がするか?という
健太の素朴な投げかけに、
悟司
「アンプがなきゃしょうがない・・・・・」
健太
「そうなんだけど・・・・・ちょっと待って・・・・」
健太は嘉岳のその高級家具調ステレオに着目した。
健太
「嘉岳・・・・ステレオ・・・・いじりまっくていいか?」
嘉岳
「いじりまくる?って?・・・・・」
健太
「やってみないとわかんないけど、、、、もしかしてステレオに繋いで、
このスピーカーから、エレキの音がでるかも知れんぞ!」
悟司
「え?今できるのか?このステレオで?」
健太
「だからぁ・・・・やってみないと、だけど・・・・」
悟司
「やって!やって!!!やってみようぜ!いいよな、な、嘉岳!」
悟司は嬉々として嘉岳同意を求めた。
嘉岳
「・・・・・・・壊れちゃうってありえる?」
健太
「壊れるっていうか、最後元に戻せるかどうか?ってことで・・・」
悟司
「戻せる!戻せる!!!健太なら戻せる! よっ、大西電器2代目っ!」
正確には嘉岳からはOKは出てなかったが、
大西電器2代目は、すでにステレオの後ろを物色し、自分のバッグから、
さっきまで家の手伝いで出張修理をしたときに使った工具を出していた。
嘉岳
「まいっか・・・・(苦笑)・・・・ギターとつながれば・・・・な・・・」
嘉岳はあきらめたように、健太の作業を見守った。
嘉岳のステレオには、マイク機能がついていた。当時のステレオには、
入出力端子機能などついていないが、なぜかマイク機能というのが
標準装備とされていた。
健太
「マイクをつないだら、そのマイクから拾った音はスピーカーから流れるのだから、
これをギターにつないだら、ギターの音がスピーカーから出るはず・・・・と思うけど」
悟司
「そうだよ!その通りだよ!出来る!できるよ!」
ステレオの後ろからなにやら操作しようとしていた健太が、
健太
「裏からだと、やっかいだな・・・むずかしい・・・・嘉岳よぉ・・・
このマイクの穴んところ・・・・こじ開けることになるけど・・・・いいよな?」
悟司
「いいよ!いいよ!これは嘉岳ぼっちゃんのおもちゃだから・・・・」
嘉岳
「・・・・・・・・・・う・う・・・簡単に言ってくれんなよ!・・・・・・・・・・・。まいっか!やっても・・・・」
と嘉岳が言う否や、健太は、家具調高級ステレオのマイクの穴を、
ドライバーでこじ開け、細いコードを数本、そのこじ開けた穴からひっぱりだしていた。
マイク穴の周辺は・・・・・・・見事に傷つき、ゆがんみ、
果ては木肌の部分までがむき出しになっていた。
健太
「これと、これを繋げば・・・・・・・・とっ・・・」
気が付けば皆ステレオの前に集まり、健太の作業をみんなで見守っていた。
