V.A.-주체

NKの元帥二人を称えるコンピレーション。限定1500万枚。NK以外の国にどの程度の枚数が流出したかは分からないが私は恐らくドイツでGenocide Organ、若しくはAnenzephalia関係者からアーティストコピーを回してもらったような記憶がある。参加者が凄い。彼の国のどの省がコンパイルに関し責任を持たされたのかは伺い知ることすらできないが情報封鎖された国内にまで名の知れていたであろう程のアーティスト達を彼らが選んだことにより、結果として当時のヨーロッパで行動していたデスインダストリアル、パワーエレクトロニクスの大ボス達が居並ぶという巨大記念碑の様なコンピレーションとして주체は完成した。
その殆ど無名であることがその孤高性と芸術性の高さを際立たせるTurbund Strumwerkが「再統一」と題された非妥協的な厳格さで聴衆を圧倒するのが大会の始まり(何を言ってるの分かればいいのだがNK語と思われるので理解不能)。逃げ場のない低濁音と人であることを超えたような異形の声で「太陽の子」より更に傲岸不遜な「人々の太陽」を眼前に突きつけるOperation Cleansweep、徹底した指導者崇拝を行う事で編者、聴衆を疑心暗鬼へと追い込むCon-Dom、国に殉じた偽親子。その娘の慚愧の涙を冷徹な工業音で踏みにじるGenocide Organ、彼の地の明るく前向きな日々がそれとは全くそぐわない曲名と共に提示されるMilitia、「盲目にされた者」では無く「盲目になる事を選択した者」の正義を怖くなるほどの圧力で見せつけてくるEx.Order、敵国が自らの言葉で自らを袋小路に追い込んでいる様をプロパガンダ風に揶揄したThe Grey Wolves、己のニヒリズムをひた隠しにしながらNKの日々の生活を淡々と切り取り描写したAnenzephalia。
阿諛追従すると見せつつ結局は自分の土俵に引き摺り込む手口は矢張りすれっからしの西洋人勢に分があったか結局、出来たものはお行儀の良い教科書的な物ではなく西側のギャング共が理想郷を異形の物へと捻じ曲げるという彼らの先鋭さと確固たる態度を見せつけられるものと相成った。

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