Z.S.S./X.E.-W.O.

片方は「え?だってインダストリアルってこういうもんであるべきだろ?俺はその伝統を残すべく”敢えて”やってんだよ」、また一方は「俺は政治的じゃなくて性的なの、分かる?オナニー、ズリネタ、OK?」とインタビューで言ってるがポリコレの暴風荒れ狂う今日では誰もつけないよと言うバンド名とタイトル。初っ端の軍歌こそ開催の地であるフィンランドに敬意を表し那智の物ではないがさてはて誰が彼らの言を信じるのか。2023年2月に「IN FRONT OF DEDICATED FANATICS FROM GERMANY/USA/FRANCE AND FINLAND」という字面を見ただけで「これは入れんな」と日本人は諦めるしかない観客を相手に行われたコラボレーションライブ。当然、上記のような物言いをする人達に対する好悪はあろう。ただしかし、それらのイメージ:先入観を排し、ノイズ:インダストリアル:パワエレ作品=「音楽」として対すると(対しても)このCD中に込められた音の構成力、タメ、ドスの効き具合は矢張り彼らのキャリア、才能が十分に沁み込んだもので「これはライブ会場の轟音で聴いたらさぞ気持ち良かろうなあ」と思わずに言われない高品質なもの。国家権力的低轟音、官僚主義的金属ループ、宣伝相的アジ、ファナティックな鉄砲玉達の白痴的叫喚、話し合いの余地が全くない稠密な音の壁、見境のない敵意と憎悪と身贔屓に溢れた名が知れたレーベルに限ればF&V以外にはリリース出来ないであろう関係者以外お断りな一枚。強固、頑迷なインダストリアルが聴きたいのであれば必聴。