Government Controlled Shrines - Linekraft/Prurient

 

Linekraftの大久保さんと言えば大分昔からフライヤーに「発狂」と馬鹿でかいフォントで何の脈絡もなく記したり、2024年4月の大阪のライブでは「キちがいになれ」と本当にキチガイが作ったようなレイアウトで書かれた紙をばら撒く(世界で一番「キちがいになれ」と書いた紙をばら撒いた男としてギネス申請して欲しい)といった所業でキチガイとしての認知度は高いと思うが一方、私は全く疎いのだが、Vatican Shadowという超メジャーらしいプロジェクトをやっているせいでカモフラージュされているのかPrurient=Dominick Fernowさんがキチガイだと言う人は余りいないように思える。ただPrurientの作品テーマの境界の超えっぷりなどは大久保さんのそれは近しいように思うし、先のフェスの際に購入したHospitalから再発されたAnenzephaliaのProgramatikaのピクチャー盤の狂ったようなアートワーク(盤面に8人、ポスターに6人、ジャケに1人と合計15人の無脳症があしらわれている。盤を回すと無脳症のメリーゴーラウンドが見られる)を見ると「いやいや彼もなかなかのものだぞ」と思わざるを得ない。またその思いはこの7インチ2枚、5インチ一枚という異形のリリース形態の由来が「ここの時刻が7:57だろ?」という説明によって更に強化されることとなる。その二人が天皇崩御と国家神道という日本人からすると「物騒」なテーマを選んで作られたのが当作品。最初から2024年発売とは思えない薄暗い音が発出される。まだノイズがおしゃれ小物に堕す前の禍々しいものだった頃の息吹がここにはある。LinekraftともPrurientとも全く違うノイズというより「雑音」が全編を覆っている。ここまで徹底出来るのは矢張り両者のキャラクター、天皇崩御、国家神道という物騒なテーマ、九段にある神社でのフィールドレコーディングが丁度良い具合に感応し合った結果であろう。わざわざ「english accent」が欲しくてthe grey wolvesに頼んだというアナウンスも良い。赤盤と黒盤で計600枚でこの異形のリリースはなかなか冒険だなとも思うが両者の本気振りとクオリティの高さからすれば完売して然るべきものと思う。

PS  インサートにあるSONGS FROM TORTURECHAMBERSは私が昔やっていたHPの表題。何かで見つけてくれていたらしい。インサート中の文も書かせてもらっているが雰囲気は伝わるが何が言いたいのか良く分からないような気がするという曖昧模糊とした内容だなと書いてから数年経った本人は思う。まあこれも当時の心の揺れやこの作品に関わっている3人目(4人目?)のキチガイが書いた精神的に不安定な人の文章という感じで「まあ、良かろう」という気持ちになれる(依頼があった際は何に使うのか私も特に聞かなかったので特に推敲もせず渡したが変にいじくらないで良かったと思う)。勿論そう思えるのは盤面の音が素晴らしいからであることは言うまでもない。