V.A.-Final Verdict

片やブラックメタルやダンジョンシンセ勢がノイズやらパワエレやらに食指を伸ばす中で本当に右寄りの思想を持つ連中がノイズというジャンルにまで到達してきたというお話は何時ぞや阿佐ヶ谷でした通り。ノイズの音の凶暴さを考えればそれが所謂アート筋やお洒落小物風に取り扱われる事の方がかなり異常な気もするがサブカル:アート勢が他人との差異化を求めた結果に行きついた先がノイズだとすれば前者のそれは矢張り音の凶悪さと己の思想の攻撃性がマッチしたという事なのだろう。また思想性の赴くところ行き着いたレーベルが一緒であるだけなら良くあることだがそこから更にKameradschaftを拗らせ異形のリリースがなされることも、私が知る以上に、あるのだろう。Final Verdictと名付けられた本作はその好例。Purificationはデスメタル、Nativistはブラックメタル、Steel Lawはハーシュノイズである。曲目やバンド名はお暇な方は各々和訳していただきたいがまあ遠慮会釈ない晒しっぷりである。ここで特筆すべきことは、阿佐ヶ谷でもふれたが、Steel Lawが所謂ノイズっぽいそれでは無くてノイズそのものをやっているところである。彼やその周辺のアーティストは初期混交時代に合ったようなノイズっぽい何かといったような「素人」っぽさが全くなく純粋に「ノイズ」として聴かれるものであることだ。もう何年も前になるが「思想的に強い奴はノイズ的に弱い」とある人と話したが最早それは昔話になったといえよう。