Sproofilic Vessel/Astral Death-Caustic Emanation
ヒムラーが好きで自分の音をultra-violent=超暴力的とたった一言インタビューでほきすてた80年代のSutcliffe Jugend。「ノイズはキチガイでナンボ」という旧態依然な価値観から抜け出せぬ私は(そもそも「~でナンボ」という言い方自体通じるのかどうか)未だその血の繋がらぬ末裔達、空気感染した後継者達に会いたいと未だに思っているのだが最近見つけたその存在は、恐らくは、ノイズというよりもブラックメタル若しくはダンジョンシンセ界隈から前触れもなく立ち現れてきた。
https://ameblo.jp/teitoy/entry-12818738692.htmlで紹介したAstral Deathとのスプリット作をここに紹介するSporofilic Vesselがそれである。寄生虫性壊死と題された2曲にはどちらも乾ききった無や窓枠の黒さだけが引き立つ真っ白な部屋の中に閉じ込められた狂人のまともに向き合うことも出来ぬような瘴気が充満している。強制収容所、特に建物内部に立ち入った時に感じるあの何とも言えぬ空気。何か恐ろしい怨念を込めて出鱈目に金属の箱で床や壁をする音、屋内に充満する人間味のかけらもない機械音、本人以外の誰にも聞こえていないかのような浮遊する高い音、壁の向こうから聞こえてくる狂人の叫び声、留め様もない黒い妄想から生まれる新しい神はおぞまし気な機械音を伴い目前に超然と屹立し、改めて周りを見ればそこは唯の白い空間でしかない。Astral Deathもまた何等の虚飾もない灰色の音階をただ垂れ流す虚ろの世界。その素晴らし過ぎる光景の前に言葉もない。