The Gerogerigegege - 直美のオナニーと若草寮案内

The Gerogerigegegeの作品に対するリスナーはただそれを押し頂くしかない。それはリスナーが「聴いてるだけの能無し野郎」だったかなんだかなのであるから仕方がない。ノイズだと思っていたらインドの音楽が入っていた(カンボジアの音楽とある場所で書かれていたがどうでも良い)、カセットだと思ったらずたずたにされたレコードが入っていた、レコードから落語が流れてきたなどなどは全て私が能無しであるが故の劫罰のようなものなのだ。

「いつまでも残っているのを見るのが嫌だ。最後の一個だし、安くするから買ってくれ」とジャケに相応しい昭和的な一人泣売というか押し売りというかの後に購入したブツ。「木箱入りとはいえカセット一本。なんでこんなに高いんだ」と思ったがレーベルもそこを読んだのか「イタリア製」で一つ一つ彫ってますみたいなアピールをしてくるのがまた胡散臭いのだがまあ直美ちゃんは可愛いし良くできてる。令和の時代では聞くことの出来ないしゃべり方は箱入り娘ならではなのか、「おまめちゃん」って言葉はディープコリアで書かれた以来だな、この粘つくようなあえぎ声はなんなんだろう、そもそもこいつ何歳だ?、「オナニーカセットテープ」などの発語の仕方が車内販売のそれに似ているな、この心のこもってない「アソコが熱い」は録り直した方が良いのではないか、そもそもこんな陰気なものでヌける奴はいるのか?????

上記全てをひっくるめてもこれは名盤なのだ。ノスタルジーのせいか、ニヒルに惹かれる性向に訴える何かがあるのか。兎に角、作品全体に何とも言えぬ雰囲気が立ち込めている。それはライナーにあるような鄙びた書店の片隅から漂いくる妖気や中古DVD店に漂うある種の諦念に似たものかも知れぬ。

 

セックスをする甲斐性もない野郎から搾取するアンダーグラウンドポルノ業界のバッタもんを買うよりははるかに報われる一本。