Belborn - all is one
今は亡きWorldserpentを主な活動場所とし1999年から2006年まで存続したドイツのネオフォークバンドの集大成。発表された全ての作品に加え、コンピレーショントラック、未発表曲、ライブ演奏までを含めた5枚組。どういった縁からかは分からないが発行元は中国のMidnight Productions。活動停止から5年後の2011年リリース。真理への憧憬、確固たる自己の確立への意志、身の回りにある自然への恐れと愛。これらを主題とする事が多いのがネオフォークの特徴と思っている。それを最も分かりやすく提示しているのが、私の知る限りでは、Belbornである。難解な所の殆どないシンプルかつ親しみやすい朴訥なメロディーと誠実さがそのまま音に変化したかのようなヴォーカル。聴き易さ故、リラックスしたい時にも良く流している。ただその聴き易さの深奥には知る者にしか分からない多くの仕掛けや謎解きがあることは分厚いブックレットをめくり歌詞を拾い読みするだけで直ちに感知できる。オカルト・神秘主義を通しての真理への扉は私のように非力な人間にとって余りにも重いがそれを開けることのガイドブックとして長い時間をかけてでも聴き解いていきたい作品である。最後に一部の歌詞を訳してみる。インダストリアル勢は口が裂けてもこんなことは、思っていたとしても、言わないだろうがそれを敢えて口に出すのが彼らネオフォーク勢の姿勢、戦略であるのだろう。「私が成長し始めたとき彼らは私を支配しようとした。私が知ろうとしたとき彼らは私を殺そうとした。なぜ彼らは私を傷つけるのか?私は何かの道具などではない!しかし、私は分かったのだお前たちが愚かで、また永遠に愚かであるだろうことを。私が歩き始めたとき彼らは私を止めようとした。私が彼らの嘘に覆われた禁忌の真実について語ろうとしたとき彼らは私を打ち砕こうとした...」