大五郎「寒天斎様、申し訳ありません。思わぬ不覚を・・・」
寒天斎「のー、大五郎。すべての者、よく戦ってくれたと思わぬか?結果は多くは語るまいぞ!」
大五郎「ははっ。今の御言葉で皆、どれほど心安らぎますやら・・・。
しかし、寒天斎様。せめてあなた様だけは、お逃げ頂き、再起をはかって頂かないことには・・・
この大五郎、自分の頭領様もお守りできなかったとあっては、末代までの恥になりましょー。
仲間からも、酷い叱責を受けましょうぞ。」
寒天斎「捨て置け。ここまでくれば、ワシもお主も同分じゃ。首領も部下もない。まして、折角、
機甲や<しらないぜ>が懸命に集めてくれた、各地に散らばっとった、飛騨衆を
無為無策のごとく見殺しに近いほどに失ってしまった、頭領のワシの責任の方が
お主たちよりはるかに重い・・・」
大五郎「寒天斎様・・・!!」
寒天斎「wm。どーやら我々の最期が近づいてきたようじゃの。
それにしても、たくさん連れてきたの・・・おかしくなるわい。
たかが、手負いのお主と爺のワシを倒すのにのー・・・」
大五郎「寒天斎様、ではまず、拙者から・・・失礼ながら、あなた様の晴々とした一点の曇りもない
振る舞いを拝見させていただくにつれ、なんだか元気が出て参りました。」
寒天斎「そうじゃろ。悲観的気分は、気持ちを萎縮させるのぢゃ・・・そして力も出し損ねる・・・
行って来い!お主の戦いぶり、とくと見せてもらうぞ!!」
飛行僧「天真様、皆様を連れてまいりました。」
天真「なぜこんなに速いのだ?」
飛行僧「帰り途が追い風でしたので、皆様に大八車に乗っていただき、拙者が3連の大凧に乗り
その凧に当たった風の力で車を走らせ帰ってまいりました。」
天真「それは、お主が考えたのか?」
飛行僧「はい。」
天真「いや、実に頼もしい。オヤジ殿もさぞご自慢であろう!!」
飛行僧「恐れ入ります。」
天真「では、皆の衆。着いたばかりで申し訳ないが、あの岩山の洞窟が奴らの本拠地らしい。
今までの、飛騨衆の道連れの考え方など思い巡らせば、入り口近くになんぞ仕掛けが
あるやもしれん。
接近は、二人以上で組んで、しんちょーにおこなうこと、よいな。」
大五郎「天真殿、勝手にそのよーな根も葉もないこと、仰せになっては 困りますぞ。
我々、最期まで堂々とたたかうつもりですぞ。
まず、拙者、大五郎お相手つかまつる。」
後鬼「拙者が行ってよろしいでしょうか?」
影丸「お主なら、ま、ダイジョビであろうな。くれぐれも油断せぬよう・・・」
後鬼「は。こうき、お相手願いたい。」
大五郎「では、こちらからまいるぞ!
<かげろうの術>!!」
寒天斎「(いかん、アレは田宮流の抜刀術じゃ、それも相当の使い手。
大五郎程度の術者であれば居場所が相手に知られてしまう・・・)。」
大五郎、無理するでないぞ!!」
後鬼「大五郎殿、御覚悟召されよ、あなた様の隠れ場所は、
◆といって、後鬼は刀を投げつけた。
低いうめき声とともに、ほとばしる血しぶき。
天真「何もしていないようだったが、なぜ居場所がわかったのだ?」
寒天斎「いや、お主の抜刀のサエ、ワシでも、かなうものではないわ。
方向を決め、殺気を込めて居合抜きを繰り返す。
すると、分身、隠れ蓑・隠形、変わり身、傀儡などの術者は思わう身をすくめてしまう。
そのわずかな空気の緊張とも言うべき、人の居場所の雰囲気の変化を読んで刀を
投げつけたのだ。勿論、はずれたら、自らの主たる武器はなくなっているわけだから、
のちのち相手に攻め込まれて、自分が落命する危険性も含んでおるやもしれぬ。
それを承知の行動とあらば、余程の自信あっての所作であろう。
いや御見事!!」
天真「お主には、緒戦のお城の警備のことといい(影丸のいない日・1/8)本当に驚かされるな!」
寒天斎「それでは次、この爺と戦って下さるのはどなたじゃな?」
影丸「頭領殿。その前に手負いのところ、先頭切って戦いに出てきた潔さと勇気を称えて、
差し支えなければ、大五郎殿をわれわれの手で葬ってさしあげたいのですが、
お許しただけましょうや?」
寒天斎「オぉ、それはまことにかたじけない!!」
▽
(ぴぽ)・・埋葬により一時休戦
△
寒天斎「ではあらためて・・・」
半蔵「その勝負待たれよ!!」
寒天斎「その声は半蔵・・・!!」
半蔵「寒天斎、何が半蔵じゃ。否、服部完斎!!。やはり貴様か。
皆の者、迷惑かけるの。この男、恥ずかしながら、ワシの弟じゃ!!」
一同「ざわざわざわ・・・ざわわ♪ざわわ♪♪」
半蔵「コヤツ、御三家筆頭尾張様についた尾張柳生一門の人間よ。
元々若いころ、服部家を飛び出し、江戸柳生に入門。そこで武術が性にあったのか、メキメキ腕を
上げ、 江戸・裏柳生(※)、そして何を思うたか、将軍様のお膝元の方がワシは収入も一定して
居るし、何事もなければ,
<五つ(8:00AM・※※)~暮六つ(6:00PM): 一般的に城詰め業務は現在の公務員より
就業時間が2-3時間が長かったようです>で帰宅といった、<規則正しいコームイン
セーカツ>ができたものを、自ら志願、尾張柳生と渡り歩いた。
まぁ、一匹オオカミのようなものかな、とにかく飛騨にあらず。
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※裏柳生:小池一夫氏原作「子連れ狼」に登場する「公儀刺客人集団」で、謀反の疑いある大名から
時には裏切った柳生のメンバーの抹殺まで行ったという架空の設定の集団です。
※※大老・老中クラスの登城:10:00AMころ。ただし大老職は一人しかいませんので1年間
休みなし(28日x12カ月または13カ月[うるう月])で御出勤
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大方また尾張様が将軍家に時々手をお出しになる、いたずらのたぐいの片棒をかついだので
あろう。もちろん、何がしかの、軍資金は出していただいた上での話だと思うがの・・・
その際、強さには定評ある、飛騨組の残党を各地から呼び寄せ、闘わせることにして、自分は
その昔、伊賀から痛い目にあった、飛騨の人間であるとでも言って、頭領としていすわった。
ご丁寧に、髪は脱色までして老けさせておるわい・・・"ヒダヒダ・サギ " とでもゆーのかのー?。
天真「半蔵様、どうか、先を・・・
」半蔵「あ、いや、自分では充分強い者を集めたつもりであったし、影丸も留守して居った、
公儀隠密隊をつぶすにはまたとない絶好のチャンスがやってきたというわけだ。
ところが、脳天鬼が言ったごとく(6/8)、飛騨忍者には強いといっても過去の輝きはなく、弟が
自信満々で望んだこの果し合い、伊賀組は次世代からも有力な使い手が次々輩出
されていて、最終的に、終わってみれば予想外のi一方的な結果となってしまっていた。」
完斎「何を申すかと思えば、世迷いごとを・・・最初からこのショーブ見えていたのよ・・・。
半月斎か機甲あたりがまぐれで、一人くらいは斃してくれれば、御の字と思っていたのだ。
要は、尾張様に<公儀忍者隊をかく乱してきました>と、嘘でもいーから報告するために、
お主たちと実際に戦った事実がほしかっただけよ。」
影丸「いたずら?飛騨の衆には悪いが、飛騨の衆も、我々もこんなに必死になって戦った結果が、
<ただ飛騨忍群との交戦記録を残すためだけだった>とは死んでいった者たち、
浮かばれませぬ!!」
半蔵「影丸、ここはチョットこらえてくれ、ワシもあいつには言いたいことが山ほどあってな、
まず、それを・・・」
影丸「半蔵様、それでは、幼稚園児やら、駄々っ子やらがオイエソードーを公の場に持ち込んで、
解決させようといった、どさくさまぎれの解決方法ではありませぬか!!」
半蔵「お主、相変わらず、かたいのー・・・
では、それはさておき、完斎を是非討ってくれ。
サンマルコと飛行僧、お主達に任せた。影丸よいであろうか?」
影丸「御意。ですが、その前に半蔵様、ホントーに弟君を御討ちになってかまわないの
ですね???」
半蔵「あいつとはもはや兄弟でも何でもないわ!!」
影丸「承知いたしました。源太郎、幻之丞。一応外側の見張りを頼む。」
源太郎、幻之丞「心得た!!」
完斎「(いつぞやの催眠術と縄術使い・・・片方は甲賀で200年生きているとかいう噂の邪気
<若葉城の秘密>を2度までも倒した忍びの息子。
いずれも目だけでは勝負してこない忍びか・・・<逃げ水>はこの二人には通用しない
かもしれぬな・・・
おお、それに、何事かソーダンしとるわい・・・」
サンマルコ・飛行僧「ゴニョゴニョ・・・」
完斎「では、お二人とも、ご用意は良いか?ワシの足についてこられよーか?」
天真「おい、二人とも、逃げ水の術かもしれないが完斎がどんどん逃げて遠ざかっていくぞ!!」
サンマルコ・飛行僧「いえ、頭領殿はお近くに潜んでおられるのです。そこです!!」
◆二人の手から手裏剣が一枚ずつ放たれ、完斎の手足に一枚ずつささった。
急所は外れてはいるものの、この最初の一撃による彼の受傷で、もはや完斎の
攻撃・防御は、全く武芸を知らぬものと等しいといっていいほどに不自由なものと
なってしまった。
完斎「二人とも、お若いのに見事だ!!なぜこんなに簡単に「「お主らから見えている
<逃げ水>という像が虚像」」ということがわかってしまい・・・・
また拙者の隠れている場所がこうも簡単に見破られてしまったのかについても、
御高説を賜りたい。」
天真「わしらもぢゃ。それにしても、おぬしたち、みなナカナカやるのー。」
サンマルコ「では、まず私から・・・私は、盲目ですから、いくら像があっても、それにヒトケを
感じなければ、皆様に何か見えていたとしても、その像が存在していたり、まして動いて
いることさえわかりません。
私にとっては、皆さまが見えている虚像の位置には<ひとがいることは始めから念頭に
ありませんので>そこ以外のどこかほかの場所におられるだろうと思って頭領様を
探していたということになりましょー。
今日の頭領様の術は御本人様が木立の中を<猿飛の術>で飛んで行って
しまったのですね?
それはあり得ないのです。
どーしてかとゆーと、みなさまから、催眠術をとくと・・・ネ?実はここは草原で、
木立ちもなければ今頭領様が身を隠していたつもりだった茂みすらないのです。
木立がなければ、木から木へ移ること自体、すでに虚像というわけです。」
飛行僧「後は、私が頭領様を見つけて、居場所をサンマルコに連絡すれば、それで事前の
打ち合わせはおしまいです。頭領様との闘いの前の相談事でこのことを確認することは
大事でしたが、一番の井戸端会議の目的は、
我々が相談していることに目を向けさせておいて、廻りの景色を少しずつ変えていっても
周囲の皆様に気づかれないようにするためでした。
ですから、ことさら、長く、いかにも、作戦会議をしているかのごとく、景色が充分変わるまで
時間稼ぎをしていたのです。
完斎「いや、、種明かしを聞いても、見事、鮮やかなものじゃ。
これでは、始めからワシの出る幕などなかったのー。
さらば、兄者、伊賀の衆・・・」
天真「毒をあおったようですな・・・しかし、この前は簡単にあの催眠術を見破った方ですのに・・・」
半蔵「皆、念のためまだ近づくでない。
脳天鬼、ここでお主の<天しぶき>使えるか?」
脳天鬼「ええ、まあ、・・・まさか・・・?!」
半蔵「そのまさかぢゃ、完斎の体に水をありったけかけよ!!」
脳天気「それはやり過ぎでは・・・」
半蔵「命令ぞ!過去に<嵐月之助=火術の月之助>が渓谷の濁流にのみこまれながらも、
火薬をぬらさず、すぐさま<火走りの術>で敵を撃退したことがあるのを、ここにおる
古株の連中は覚えておるだろう<地獄谷金山の巻>。
しかし、これでヤツがもし火種を持っていたとしても消えるであろう.。」
脳天鬼「承知つかまつりました。ですが・・・」
◆草原が今にも水耕地にならんとせんがごとく、勿論完斎のからだはすっかり水没してしまった・・・
半蔵「さて、皆の者、引き揚げじゃ!!」
影丸「弟君は、あれでよいのですか???」
半蔵「やつはあれでほんもーなはずじゃ。」
影丸「先程、日輪殿が言いかけておられましたが、弟君は催眠術にかかったふりをして、わざと
負けてくださったのでは・・・先日のサンマルコのクモの術をいとも簡単に見破った方と
同一人物とはとても思えません。」
半蔵「もー、よいではないか、すべて終わったのだ。
後は、江戸城内に、曲者が入られたことについてワシに責任が問われるかどうか・・・
それだけが残っているだけよ・・・」
サンマルコ「半蔵様、お風邪を召したのでは・・・なにやら、鼻声のような・・・」
半蔵「そうかもしれんのー。わしも涙もろくなって。」
サンマルコ「いえ、私は、お鼻のことを心配いたしたのでありまして・・・」
半蔵「ソーか、ワシは鋭い人間は好かん!!」
サンマルコ「さようにございますか
」半蔵「や、コレは言い過ぎた。
どうじゃ、お主、日本は遠かったであろう。
東海道のあたりよりほか、ここの風土にあまり触れていないであろう?
今度ワシの処遇が決まったら、ワシの田舎にしばらく遊びに来んか?
サンマルコ「よろしいのでございますか?」
半蔵「遊びに来るなら、冬以外が大儀ないぞ!」
サンマルコ「遠いのでございましょう?」
半蔵「大坂よりはな。」
サンマルコ「私のような盲目でも足手まといにはなりませぬか?」
半蔵「お主なら大丈夫じゃ!!」
飛行僧「半蔵様。私はダメでしょうか?」
後鬼「拙者も是非伺ってみたいものです!!」
天真「おー、爺さんのお宿は若者に人気がありますノー。して拙者もよろしいので??」
半蔵「天真はだめじゃ!!」
天真「何故ですか?」
半蔵「明日わかる。」
天真「何だか不公平ですな
」影丸「天真殿のような防御の達人は、江戸城が手放してくれないということですよ。」
半蔵「やー、ワシも影丸のような、ヒトを盛り立てるようなセンスがほしいのー。」
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公儀隠密伊賀組 <メンバー表> 飛騨忍群
● 陣頭指揮者(●:臨時)
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(●) (6代目、服部半蔵) X 首領 寒天斎⇒服部完斎(服部半蔵の弟)
●小頭 影丸 X オレとお前と♪大五郎(だから違うって)
日輪 天真 *************
脳天鬼 ▲独眼房機甲
十六夜幻之丞 救命丸
後鬼 首領相当 半月斎
村雨源太郎 副頭領 しらない・しらないぜ
飛行僧 刑部補
サンマルコ 靄丸
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▲前回までに落命している忍
X 今回の戦いで命を落とした忍
影丸のいない日・・・8/8+あるふぁ 了
*長い間、皆さまにお読みいただいた、このシリーズも
今回を以って・・・ちょちょちょ!!!・・・まだ一回あるんだって!!
すいませんねー皆さん・・・
次回 +あるふぁ(最終回)です。