私は肌が丈夫ではなく、電動ひげそり器で毎日ひげをそっていても
時々顔の皮膚が真っ赤になっていたり、小さなニキビだらけになっていたり
するんです。
それで、せめて<土日当番>がはずれた”完全週休2日(職場の慣習的呼び名です)”の
<土日>くらいは、ひげをそらず肌を休めて、月曜の出勤前に、ヒゲを一気にそるように
しました。
そういう月曜日は、皮膚がはれあがって大変なこともありましたけれど・・・
そんな週末当番から外れた土曜日の深夜というのか?日曜日の深夜に変わりつつあった
時間帯であったというべきなのでしょうか?
夢の中に、一人の中年男性が出てきて、ひげをそることをしきりに勧めます。
何回か追い払いますが、また、出てきます。
なにかわけありそうなのですが、これだけの回数(30数回でしたでしょうか?)でてこられた
のでは、さすがに気色悪くて、段々眠りから覚醒へ引き戻されているような予感がしました。
・・・「では、いっそのこと起きてやれ!!」・・・
・・・「ホ~ラ、夢で出てきたオジサン、消え・・・てないのかよォ・・・」
「あのォ~、私、貴方様、おそらくお亡くなりになっておいでだと思いますが・・・・、何か、
うらみを買うような仕打ちをしたのでしょうか?」
と、今度は下手にでて、恐る恐る聞いてみる・・・
「なーに、馬鹿言ってけつかるだ、わしゃ、お前様の<じさま>ぢゃ」
「えー!?でも、Yさん(母方祖父)ぢゃない・・・あーあーあ、割と若くして亡くなってしまったと
聞いております父のお父様ですか?」
「おーよ。
この一両日で、息子が、いやお前様のおやじ殿の血圧が上がって脳溢血になるやもしれん。
それもかなりの重症ぢゃ。命にかかわるような・・・。
そこで、お前様に、おやじ殿の血圧が高くなっているということを、本人に注意するよう伝えて
ほしいと思うてのー、こうしてお願いに上がったのじゃ。
非常識な時間に来てしまって、びっくりさせてしまったのは、これ、このとーりお詫びする。」
と(父方祖父?と思しき人物)は土下座に近いほどに、頭をフローリングすれすれまで下げた。
「いえ、それはどーでもいーことなんですが・・・どーして本人に直接つたえないんですか?
そのほうが誤解なく伝わると思いますよ。」
「いや、ご指摘至極ごもっとも。しかし、わしらの世界では、お前様は”見える人”と伝わって
きている。
お前様のおやじ殿はそーユーことはサッパリダメな人間じゃった。
ことは緊急を要する。そこでお前様にご登場いただいて、おやじ殿への連絡係となって
ほしいのぢゃ。」
「承知しました。
だけど私が言うことを、父が信用してくれるでしょうか?
それと、私がひげをそることとどう関係してくるのですか?」
「それは大丈夫。昨夜おやじ殿の洗脳をしておいた。
お前様のヒゲソリは、今回の頭の事で病院に行くかもしれん。その備えぢゃ。
おー、もう夜明けが近い・・・夏至のあたりは、日の出が早い。
ではよろしく頼んだぞ。
機会があったら、今度は、病など物騒なこと抜きで、お前様とは
一献かわしたいものぢゃ。」
「あああ、消えちゃったヨ。
明るいったってさぁ、まだ、4時前だよ(北海道の夏至の日の出は03:00頃です)。
いくらなんでもまだ電話はないよな。俺のところから実家まで1km程だから歩いていくか?
あー、ひげそってから電話かけるか!!」
「・・・午後9時XX分、ご臨終です。
手を尽くしましたが、頭蓋内の出血量が多くてどうしようもありませんでした。
お役に立てずに恐縮です。
ところで、息子さん、、血圧が高かったのでしょうか?」
泣きじゃくる老夫妻には何をどのように説明してよいのか全く分からなかった。
父親が、やっと説明らしいことを始める。
「私を含めて、私の兄弟は男4人ですが、全員血圧の薬を飲んでおります。
高血圧は遺伝すると聞いたことがありますから、せがれも、いつの間にか血圧が高く
なっていたのかもしれません。」
担当医は、大変満足そうな表情になった。
父親は、引き続いて病院では入院初日にひげをそる行為をしているのかどうか
聞いてみたかったが、死んでしまってから聞いても詮方ないこととあきらめてしまった。
それは、母親も同様で、休みの週末のはずなのにひげがそってあるのを大いに
不思議に思った。
天上から、祖父が「方針を間違えたか・・・」と一人ほぞを噛んでいた。
虫の知らせは無視できず 了