子機 | 余生庵 カラスの晴耕雨・読ぶろく…クンセイが肴

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残り少ない余生をテキトーにいきていくブログ
◇監修 左上野 老鶴 ◇GM 経田野 横鋤 ◇照明 当代元 蔵志
☆余生を送っている人間が書いている記事ですので、恐縮ですが
 「記事更新頑張りましょう」といったコメントにはお返事できま
  せん。

もうすぐ新入生になる下の子が、

「おとうさん、この前からお兄ちゃんと電話でお話しするとき、なんだか聞えづらくて・・・」

といかにも「困った」という表情で訴えてきた。

(・・・相変わらず甘え上手なヤツ・・・)


しかし、確かに、ウチのファックス付き電話機は購入して10年たっているし、受信状態が時々悪くなるのは事実であった。

でも、下の子は長男とだけ、電話で話をして遊んだりしたりすることがあるのだろうか・・・?

「一応、アニキにもきいてみるか?」

「あいつそんなこといったの?」

いつものぶっきらぼうな口調で、長男が不服そうに言った。

妹とは8歳離れているので、普段はよくかわいがってくれているが、本心は怪しいもんだ。

「で、本当のところはどうなんだ?」

「あいつの言う通りだよ」

半ば投げやりに言うと、さっさと2階に消えてしまった。


私はニョーボと相談して、新しい、しかし現用の型とあまり変わらないファックス付き電話機を買った。


買ってから2-3日して、下の子が、

「ねー、おとうさん、おにいちゃんとやっぱりお話しづらいの・・・」

とこの前と同じ顔つきでやってきて訴えた。

私は無視するすることにした。


そんな他愛ない話からおよそ40年、私は手ひどい病に陥ってすぐ動けなくなった。

それぞれ独立していた子供たちが早々に見舞いにやってきた。


ニョーボは私のことは知らせていなかったらしくびっくりしている。


「そういうことだったのか・・・」

私は子供のころの娘の訴えの意味が初めて分かった。


奴らは兄妹同士間だけテレパスが働いていて、妹は、少し年長になった時、能力に陰りが見えたのだろう。

それを、「電話でお話しづらくなった」という言い方をしたに違いない。

今回親族の私の大病に直面して、二人とも昔の力が一瞬蘇ったのだろう。


私は長男だけに、

「俺がどうなったかわかって帰ってきたんだろう?」

とたずねた。

「なんだ、知ってたのか」

と奴はこたえた。