春の嵐が運んできたもの(Ⅱ) | 余生庵 カラスの晴耕雨・読ぶろく…クンセイが肴

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残り少ない余生をテキトーにいきていくブログ
◇監修 左上野 老鶴 ◇GM 経田野 横鋤 ◇照明 当代元 蔵志
☆余生を送っている人間が書いている記事ですので、恐縮ですが
 「記事更新頑張りましょう」といったコメントにはお返事できま
  せん。

その日は未明から、3月20日過ぎだというのにひどい暴風雪。


函館線はダウンしていた。なんとか札幌まで出たものの、職場のある約60km先の美唄まで行くことは絶望的だった。


どこからともなく、駅員が現われ、

「お客さん、そーとーお困りのようだね」

帽子には金筋が入って駅助役のようだが、目つきが変に鋭くて、言葉使いもどことなくぞんざいである。

「えー、どーしても商談の関係で、今日中に書類を仕上げて、見積もりを取引様に連絡しなければならないものですから・・・」


見ず知らずの、駅係員にこんな話をする筋合いは、なんらないのだが、何かいいことがありそうな予感がして、つい余計なことまで話してしまった。

「じゃ、こっち来てくれる?これから起こること、誰にもしゃべったりしないこと。いーね!」

と、かなり強い口調で、念押しされて、階段を下っていく。


札幌駅は高架駅で、まず、改札口のある地平へ、次に地下鉄のある地下一階、続いて、3フロア分も下がっただろうか・・・

「どこまでいくんです?」

「ま、いやならやめてもいいんだよ。」

「でも、何も説明なしでは」

「おー、そりゃ失礼。もちろん、お客さんを、えーと・・・美唄までご案内してさし上げるためさ。もちろん特別料金は頂きますよ。1万円」

「だって、美唄までなら、運賃\1040+特急料金\1100ですよ。暴利だ!!」

「だから、ネ!いやなら、ひきかえしてもいいんですって。それに特急のように所要33分では着きません。

1時間少々かかります。でもいきたいんでしょ。び・ば・い」

「わかりましたよ。後はどーすればいいんです?」

「ここからは、私語は禁止。ワンマンです。料金先払い。札幌で領収書を出しますから、美唄に着いたら、それを運転士に渡してください」


電車は、地下・札幌駅?にもう入っていた。大きさは市電なみ。JR車両の半分くらいか。

ベルが鳴って、動き始めた。かなり速い。時速60kmくらいかな。


でも本当に美唄まで着くのだろうか。私は急に不安になってきた。

「さっきの客は稚内まで\10万取られていた。全線地下線か?いつこんなもの作ったんだ?

大体乗客は全員本物か?サクラってこともあるよな?そのうち、ノートパソコンよこせ、有り金全部よこせとかならんだろうな。

私は、この正体不明な列車に乗ったことをいまさらながら、後悔していた。


そして次第に、大きくなっていく不安に、叫びだしたい自分をかろうじて抑えているのだった。