在宅療養をしている高齢者とご家族にとって、避けて通れない難題があります。

人生の最期をどこでどのように迎えるかという問題です。

 

 

厚生労働省「人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書」(2018年3月)によれば、

「どこで最期を迎えることを希望しますか」 という設問に対し、一般国民の 69.2%が「自宅」と回答しています。

 

しかし、実際には、自宅で亡くなる人の割合は全国平均で13.6%にすぎません。

地域差もありますが、まだまだ病院で亡くなる人が圧倒的に多いのが現状です。

 

 

日本人の「死」に対する感覚や「亡くなる場所」は、時代とともに大きく変化してきました。

戦後間もない頃までは、高齢になって病気になったり身体が動かなくなったりすると、自宅で療養して、そのまま最期を迎えるのが普通でした。

しかし、戦後の復興とともに 全国に医療機関が整備され、1976年には病院で亡くなる人が、自宅で亡くなる人を上回るようになりました。

そして近年は病院で最期を迎える人が約8割に達しているというわけです。

 

超高齢社会である現代は、病院偏重の死のあり方に 疑問を呈する声が高まってきています。

背景には、病院の「どこまでも治療する方針」、すなわち、1分1秒でも長く生かすことを目指した延命治療が高齢者の心身にとって苦痛が大きいことがわかってきたことがあります。

 

また、日本人の死生観の変化もあります。

「終末期になっても、いままでと変わらない生活スタイルで過ごしたい」

「自分らしく人生を終えたい」

「その人らしく人生を終えてほしい」

と考える高齢者や家族が着実に増えています。

 

前述の意識調査においても、

「自宅」を選択した人に「自宅で最期を迎えることを希望した理由」を尋ねたところ、

一般国民が回答した理由(複数回答可)の上位4つは

 

「住み慣れた場所で最期を迎えたい から」(71.9%)

「最期まで自分らしく好きなように過ごしたいから」(62.5%)

「家族等との時間を多くしたいから」(50.7%)

「家族等 に看取られて最期を迎えたいから」(35.8%)

 

でした。

 

こうした国民 の希望を叶えられる社会をつくっていくことが、これまで以上に求められています。

在宅看取りについても、個人の生き方としてはも ちろんのこと、社会全体としてももっと積極的に取り組んでいくべき時代が到来していると私は強く感じています。

 

幸い介護保険制度によって、在宅看取りは従来よりも実現しやすくなりました。

高齢者本人に「家にいたい」という希望があり、ご家族にもその「覚悟」があれば、多くの人が最期まで自宅で過ごすことができます。

 

もちろん、看取りの場所をどうするかは、高齢者自身もご家族も いろいろな思いや事情があり、決めるのは容易ではありません。迷ったり、葛藤するのが普通です。

 

私たち在宅医療のチームは、そうし たプロセスも含めて全面的な支援を行っています。

 

 

 

「在宅医療」他人事ではございません。

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