在宅医療に対するイメージは、

「がんの患者さんが終末期を迎え、自宅で療養する」というものが多いように感じています。

 

確かに近年、がん治療の分野で在宅医療が少しずつ浸透してきています。

しかし、在宅医療を受けられるのは、がん患者さんだけではありません。

 

実は疾病で多いのは脳血管疾患などで要介護になった人や、

臓器不全、関節疾患などを持つ要介護の人、また高齢で身体が衰えた人たちです。

 

日本ではこれまで体調が悪くなったり、ケガをしたりしたときなどは病院や診療所に行くことが当たり前でした。

しかし、超高齢社会を迎え、病院に行くこと自体が困難な高齢者が増えています。

足腰が衰えたり、ひざに痛みがあったりすると、高齢者は外出をなるべく避けるようになります。

また、社会的な要請(免許返納)もあ り、高齢者は自分で車を運転しなくなります。

地方では公共交通機関の少ない地域も多くあり、通院が必要な場合、配偶者や子供など家族に頼るほかありません。

しかし、「家族に迷惑をかけたくない」 という心理が働き、なるべく受診を控えようとします。

つまり、身体的にも心理的にも病院に行くことが負担になるのです。

 

また、高齢者は加齢による臓器の衰えが進み、生活習慣病などの慢性疾患を複数抱える人が多くなっています。

そういう人が病院で短期間の治療を受けて完全に回復するケースはまれであり、継続的に治療を受けながらそれ以上状態が悪化しないように維持する治療 が中心になります。

 

つまり、高齢者は病院で治療できることが少なくなり、「毎日の療養生活をどのように支えていくか」に医療の重点が移るのです。

 

在宅医療は、こうした高齢者の状況に合った最適な医療の形と言えます。

 

在宅医療とは何かを改めて定義するならば、

「加齢や病気などにより通院が困難になった患者さんの自宅を医師や看護師が訪問し、診察や治療、生活指導などの医療行為を行うこと」

となります。

 

在宅医療は、入院、外来に次ぐ、「第三の医療」と位置づけられており、

病院が「治す医療」であるのに対し、在宅医療は「支える医療」だと言えます。

 

もちろん、どちらが優れているということで はありません。

 

ただ、

高齢者や心臓疾患、脳卒中、がんなどの大病を経験した人とその家族が在宅医療という選択肢を知っているか否かで、その後の QOL は大きく変わってきます。

 

ブログを読んでくださる皆様には、

このことをぜひ知っておいていただきたいと思います。

 

 

 

 

 

「在宅医療」他人事ではございません。

「ブログを見た」と言っていただければ結構です。

どうぞお気軽に、ご相談ください。