落ちても割れぬ月 | カラッポのマネキン

カラッポのマネキン

ウソと本当のミックスジュース。おいしくどうぞ。

 きっかけはたった一枚の写真。
 彼の部屋にはってあった、一枚の写真。そこには親友のミカがうつっていた。ただの写真。修学旅行で自由に注文できる写真。彼女である私の写真じゃないミカの写真。
「あれー? 私の写真はー?」
 その時はあまり不思議に思わなかった。普通にそういった。その時の彼の反応をみて、ただの写真じゃないと、ほんのすこし、思った。
「ごめん、ごめん」
 と片付けたのだ。軽く言い訳すればいい。いつ張ったかな、一緒に君の写真もあったけど、落ちちゃったかな。そういえば修学旅行でさ…。そんなふうでいい。なんで謝ったの?なんで隠すの? そんなことを考え始めたのは帰りの電車の中で。冷静になるとおかしい。
 クラスが変わって彼と同じクラスになれて、神様仏様じーちゃんばーちゃんありがとうとお風呂で泣いた。三年生で同じクラスということは、卒業してからも同窓会であえるということ。嬉しくてミカに抱きついた。よかったねえ、ミカは自分の彼氏と違うクラスになったのに、私のことを喜んでくれた。
 修学旅行。
 おなじグループに誘えない私をみて、彼にまっすぐ声かけてくれたのはミカだった。
「人数あうし。どう?」
 いいよ、軽くOKがもらえた。嬉しくてミカにキャッツカフェで特大パフェおごった。アイスクリーム、おしゃべりしてる間に溶けちゃったね。
 修学旅行。誘えない私をみてミカが間に入ってくれた。三人でまわった京都の商店街。わけっこしたタコヤキは学校帰りにもあるチェーン店だったけど味も覚えてないくらい美味しかった。青海苔が気になって一つしか食べれなかったけど。
 告白したくて作ったチョコも渡せなくて放課後捨てようと思ったけど、ミカが家の前まで連れてってくれた。

 ダメだ、どの記憶を思い出しても、彼の目はミカを見てる。そしてミカも彼を見てる。

 ミカには彼氏いるもんね?
 彼は私の彼氏だよね?
 私かのじょだよね?

 私は写真なんてみていない。
 見てないし、知らない。何も見ていない。
 ミカに今日のこと話さなきゃ。水族館に行ったって、言わなきゃ。