“友達として会うため”に、品行方正な

行き先や過ごし方候補を列挙した

メッセージのやり取りをしていると、

彼はおもむろに「△△ホテルもいいね。前みたいにゆっくり過ごすの。」と言い出した。

 

そこは、彼が海外赴任のために日本を発つ直前、2人で丸一日過ごした外資系のラグジュアリーホテルだ。

 

 

 

 

 

 

 

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あの時は、海外赴任のためにまもなく日本を発つ彼に

サプライズでそこに誘われて、

自然に涙が溢れてしまうほど嬉しかった。

嬉しいだけではなく、もう彼に会えなくなる区切りだと思って悲しくもあった。

 

セックスの合間に一緒にゆっくりバスタブに

入っている時、こんなこと言うのおかしいんだけど、僕いつのまにかtefeさんのことが本当に好きになっちゃったんだと言われたのもあの場所だった。

 

(10年くらいずっとセックスだけの関係だった相手に今さら言う?日本を発つ直前だから感傷的になって言ってるだけなんじゃない?と思わなくもなかったが)

 

良いホテルなので、レストランも素晴らしく

美味しかったし、景色もとても綺麗だった。

そういえばあの時も、私はこれで最後だと思ったので渾身のお別れの手紙を書いて持っていき、

“読んだら捨ててください”と言って渡した。

 

彼はそれを私の目の前で読んで、心なしか

半べそをかいているような表情になった。

“ありがとう。すごく沁みたよ。僕には捨てられない。tefeさんに保管しておいてほしい。大事に箱にでもしまっておいてよ。”

“えっ、私も家に持ち帰っても置き場所に困るから、帰り道のゴミ箱にでも捨ててください。”

そんなやり取りをしたことも思い出した。

(その手紙はけっきょく私が彼から押しつけられて

家に持ち帰り、こっそりしまってある。仮に誰かに見られたとしても、彼と私にしか分からない比喩表現が多く、名前も書いていないので大丈夫だと思っている)

 

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あの日のことは、あのまま良い思い出として

とっておきたい気がしていた。

あの日はお互いに盛り上がって、身体だけの関係だけではなくて気持ちも通じたかのような気になったのだ。

あの日と今の関係性は連続していない。

別れ話をしたときに、関係を切ったのだ。

色々あった上で離れて現在の関係になった2人で行くのはちょっと違うかなと思った。

 

でも、そう思った上で、

現在の(離れて落ち着いた)関係性で行くことで、

過去の(濃密な男女関係だった時期の)思い出を

上書きしてしまうのも、静かな老後のためには

良いのかもと思い直した。

 

お世話になっている年配の先生も

性別など関係無しに、気の合うお仲間の人たちと国内外の色々な場所に出かけたり一緒に創作活動をしたりしている。私もそういう落ち着いた年齢に近づいているのだ。

男女であるとか、男女関係にあった、というだけで、気の合う相手との人間関係全てを切り捨ててしまうのはもったいない。

 

そういう、捨て鉢ともやけくそとも違う、

落ち着いた開き直りのような気持ちになって、

「いいですね、そうしましょう」と返事をした。

 

 

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