指定された場所は、

駅前の大通りから少々入った細い道沿いだった。駅に近い道沿いには、

ビジネスマン向けの定食屋さんなどもあり、

人どおりが結構あった。


やましいことをしていることなど、

おくびにも出さないように

歩いていたつもりだったが、

用心のために、少し大回りして裏口から入った。


ロビーの椅子に、彼が座っていた。

数か月ぶりに彼の顔を見た瞬間、

胸がときめいた。

そんなことを知ってか知らずか、

彼は素早く私をエスコートして

エレベーターに乗り込んだ。

 

今まではエレベーターに乗ったら

すぐに抱き寄せてキスをしてくれたのに、

少し距離がある。

部屋に入ると、

これまた普段はすぐに抱きしめてくれたのに、

今回はソファに座ってしまった。


狭いソファだったので、私はベッドに腰掛けた。

 

「ごめんなさい、ちょっと朝ごはん食べていいですか?」


「え、朝ごはんですか、どうぞどうぞ」


おもむろに、コンビニで買ったと思われる菓子パンに噛り付いた。

(お腹がすいてたんだ。だから少し元気がないというか。無理させちゃったのかな。)

 

「ちょっと仕事が忙しくて。すみません。」

「いえいえ、ゆっくりどうぞ」

 

しばし、お互いの仕事の状況など話してゆっくりした。海外とのやり取りがあるから、

早朝に起きてテレカンをしているとか、

ごく落ち着いた話だった。


(それにしれも、もうお昼近いのに今から朝ごはん? まだ新婚さんみたいなものなのに、コンビニの菓子パン?)

 

ベッドに座っている私から、

ソファに座っている彼が、

出窓の金属枠の、尖った角に頭をぶつけそうに見えた。

ラブホテルの部屋が狭くて、

無理に家具をレイアウトしていると見えて、

彼が少しでも首を横に曲げたら痛そうだ。

 

“私、いまにもその角に

頭をぶつけちゃうんじゃないかと思ってヒヤヒヤしてるんですけど。気を付けてくださいね。”


“tefeさんは、もし僕が頭をぶつけて倒れたら、僕を置いて帰っちゃうんでしょ” 


“もちろんですよ。あ、でも、いちおう電話はしますよ、119番に。”


“クールだなぁ”


“だって、背負って出るとか無理でしょう。こういう関係だし”


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【彼を忘れたい理性と彼を欲しがる身体】を

書いたあと

こちらの記事が目に飛び込んできて

とっても共感したのでリンクを貼ります。


お互いが深く繋がるSEXについて書かれています。


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