「親知らずが痛いです。今までも何回か腫れたんですが、今回が一番痛いです」


「では一度診てみましょう」


「…」


「炎症が引いたら抜歯しましょう。」


原色虫歯図鑑

最近多いのが横向きで埋まってる親知らず。これは現代人のあごの形がシャープになってきた事に起因する。


中途半端に覗いた親知らずは歯槽膿漏の菌の拠り所となり、痛みを起こす。


上の親知らずの抜歯は基本的に簡単。骨が軟らかいから、はっきり言って学生でも抜けるだろう。


問題は下の親知らず。下顎は骨が非常に硬く、通常親知らずの根っこの先辺りに神経と動脈の管がある。


そのため、下の親知らずの抜歯はテクニックと患者さんへの説明が非常に重要になる。



今回の親知らずのレントゲンはこれ



原色虫歯図鑑

根尖付近に管がはっきりとわかる!


このケースは明らかに管から離れているので安全。もっと近い場合はしびれが残る可能性がある。


下の親知らず抜歯の際の注意点


 ①中の神経は動かす神経ではなく感じる神経なので、麻痺が出た場合も動かすのは普通にできるが、下顎の半分が麻酔が覚めないような感じになる。麻痺の期間は だいたい半年から一年と言われているが、これは統計データがある訳ではなく、あくまで目安である。麻痺が出た場合は、神経の回復を促進する為の薬を飲んでもらいます。


 ②太い血管の周囲には枝分かれが出ている事がある為、予想外の出血を来たす可能性がある。あまりに出血が多い場合、その日の抜歯を中断する可能性がある。


 ③抜歯後腫れ、痛み、内出血する事がある。腫れは三日から長くて五日ほど。


①と②はそんなに頻繁に起こる事ではありません。百人に一人もいないでしょう。でもこのようなリスクは確実にある訳なので、患者さんはそれを知った上で、抜いて得られる利益がリスクを上回ると判断した場合、抜歯してもらいましょう。普通に抜歯して管を切断してしまう事はまずないので、99%回復すると言われています。


③はすいません、覚悟しておいてください。ただ、現在主に使われている痛み止めは非常によく効きます。なので、術後痛くて痛くてもだえ苦しんだ、という人はめったにいません。


腫れた場合、冷やさない方が早く治ります。冷やす事で、傷を癒そうとする体の反応を抑えてしまうからです。





ちなみに今回はポケットを洗浄し薬を入れて、抗生剤を飲んでもらいます。


次回はいよいよ抜歯です。

「最近親知らずの辺りが腫れてて、噛むと歯ぐきに当たって痛いんです」





上の親知らず
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下の親知らず
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上の親知らずが下の歯ぐきに噛みこんでしまってます。


下の親知らずの生え方が中途半端な為、歯槽膿漏の菌が下の親知らず周囲のポケット(歯と歯ぐきの際の溝)の中で暴れて腫れています。腫れた部分に上が噛みこんできています。


ポケットの中では免疫力が働いているため、普段は腫れたり痛くなったりはしません。


でも菌の数が増えたり(要は汚れがたまったり)、体の抵抗力が落ちると、このように腫れたり、膿が出たり、痛みが出たりします。


今回はポケットを洗浄し菌を殺すお薬を入れて、抗生剤を飲んでもらいます。


次回以降、心の準備ができたら抜歯です(x_x;)



前回親知らずの移植を紹介しました。もしかしたら親知らずを抜いてはいけないと感じたかもしれません。でもそれは違います。


なぜならこのような炎症を起こしている時、歯ぐきの中では歯を支える骨がどんどん溶かされています。ですので、使うか使わないかも分からない親知らずを、炎症を起こした状態でも保存するのはナンセンスでしょう。


大事なのは、使っている歯をしっかりと一生守っていく事です。


ちなみに若いうちは骨の再生能力は非常に高いです。でも二十代から三十代、四十代と年齢を重ねていくうちに、再生能力はどんどん低下します。


なので若いうちに親知らずを抜いておいた方が、より七番目の歯(親知らずの手前)を支える骨を健康に保つ事が出来るのです。


歯医者さんの健診で親知らず周囲の炎症がレントゲンで確認された人、親知らずに痛みが出てきている人は、なるべく早く抜いておいた方が良いのです!



術前


原色虫歯図鑑




術後


原色虫歯図鑑

勿論全てのケースで適応ではないが、はまるケースでは当然親知らずも活用すべきですよね!


ただし、移植した歯はいずれ骨に癒着したりダメになってしまう事も多いと言われています。でも保険も適応しますし、インプラントへ至るまでのつなぎであっても、僕は有益な治療法だと思っています。