恐怖体験なんだヨー。
第一話:出会い
定例化していた同期の飲み会。
いつの間にか、持ち回り幹事で、幹事の都合の良い日に飲み会が開催されると言う暗黙のルールになっていた。
ほぼ、毎週だ。
その日の幹事は、私と同じ関西出身の同期の女子。
幹事特権ね、と言って京都から遊びに来たと言う友人を飲み会に連れてきた。
同期の女子は、会社が女子寮として借り上げていたレオパレス(ワンルームマンション)で一人暮らしをしていて、「彼女」を泊めているのだと言う。
一人で置いておくのもなんだし、と飲み会に連れてきてくれたのだ。
「この子、園子(仮名)ちゃんね。連れてきちゃったけど、エエよね?」
当然、皆異存あろう筈もなく。
その「園子ちゃん」は、同じ関西出身ということ、さらに「園子ちゃん」の出身高校に、私の知り合いも通っていた事もあって、共通の話題も多く、すぐに意気投合して楽しい時間を過ごさせもらった。
二軒目の中華料理店では「園子ちゃん」の隣の席に座ることができた。
「・・・・へえ!自分、地元は丹波なんや。全然京女っぽくないやん」
「絶対言われると思たわ。どすえ、とか言うとでも思ったん?」
「そうやないけど、なんかイメージってあるやん」
「通ってた高校って、大阪から来てる子が何人かおって、変な大阪弁うつされたんやわ。いややわあ」
「なんや、それ。で、高校って、どこ通ってたん?」
「えっと、〇〇高校」
「えっ!嘘!俺の友達の彼女やった中西さん(仮名)って子が通ってたで!え?自分何歳なん?」
「24」
「うわ。多分おんなじくらいやったと思うわ、知らん?ほら、髪の毛長い子で、中西さんって子」
「ぷっ。ほんなん、みんな長いやん。・・・・中西さん・・・・うーん、仲はようないけど、なんかおったような気もするけど、ようある名前やから・・・」
「そりゃそうやわな。俺、大学時代に京都に下宿しててん。まあ、こっちは洛内ですがねえ」
「うーわ!むっちゃ失礼やん。そりゃ、ウチらは洛外ですけど!」
洛内、洛外とは、いわば都心部か、郊外部か、と言うようは意味なのだが、実際には当方が下宿していたあたりも洛外。私にとっては、久々に京都を中心にした身近な話題で盛り上がれたのが嬉しかったのだ。
「園子ちゃん」は、ただ東京に遊びに来ていただけなので、2、3日して京都に帰ったのだが、お互いになんとなく惹かれあったのだろう、スマホどころか携帯もメールもない時代、住所と固定電話の番号を交換していたので、その後も手紙と電話によるアナログなやり取りを続けていた。
もちろん手紙と電話だけではない。
当時の大阪事業所の所長が、大阪出身の私を気に入ってくれていたので、仕事と言っては指名して大阪に呼び付けてくれていた。
お陰で、結構頻繁に帰阪することができたので、帰阪しては園子に会いに行き、遊びに行ったりしているうちに、これまた「なんとなく」で付き合っている状態になっていった。
完全な遠距離恋愛で、結局2年ほどで別れたのだが、そんな時代の話だ。
しかし、これは恋愛の話ではない。
それは真夏のある日の話。
展示会
自動車でもモーターショーが行われるように、IT業界でも毎年、大規模な展示会が行われる。
今も、「その」展示会は名前を変えて続いているが、販売店や流通、メディア、そしてエンドユーザーと直接対面できる重要なイベントだ。
大規模なものは、東京、大阪でそれぞれ年2回、合計4回の展示会が行われるのだが、業界団体とメディアが主催していた「その」展示会は、テレビのニュースでも取り上げられる最大規模のものであった。
その夏も、大阪で行われる「その」展示会に当然のように出展することになっている。
恒例だが、「その」展示会には、東京からも社員が大挙して出張して、盛大に自社製品をアピールすることになっていた。
通常の出張時と同様に、展示会でも大阪への移動は、基本的には新幹線なのだが、今回、私は車での移動となった。
と言うのは、大阪会場で配布する肝心のカタログが、印刷の発注ミスにより、展示会前日の大阪着荷にはギリギリで間に合わず、その日、練馬にある倉庫に入荷したためだ。
今のように、宅配便で翌日、とはいかず、そのカタログを誰かが大阪の会場まで運ばなければならない。
そこで、私と、いつも良くしてくれている先輩と2人で、展示会前日に練馬の倉庫まで会社の車でカタログを取りに行き、大阪まで走らせることになったのだ。
練馬の倉庫
その日は、いや、その日も、朝から暑かった。
連日、気温は35度近辺まで上昇している。
その日も雲一つない晴天で、朝8時にはおそらく25度を超えていたと思う。
当時住んでいた豪徳寺のワンルームマンションから練馬の倉庫までは遠く、朝5時には起きて支度して電車に乗った。
ラッシュアワーよりも時間が早く、加えて世の中全体の通勤とは向きが逆だったため、電車は比較的空いていて、途中駅から座ることもできた。
そして、うつらうつらしている間に練馬の駅に到着。
前日に社用車のタウンエースで家に帰った先輩とは、駅前のロータリーで待ち合わせだ。
駅前は、都心部へと出勤する人混みもピークを過ぎ、ようやく落ち着きを取り戻しつつある。
「朝だし、停められなかったらどうしようか?」と、先輩は心配していたが、今は人も車も少なく、タクシー数台と、バスが2台停まっているロータリーの端っこに見慣れたタウンエースが停まっていた。
タウンエースは、前日に、契約してあるガソリンスタンドで洗車してあり、ガソリンを満タンにしてある。
停められなかったら、の心配で約束の時間よりも結構前に到着したという優しい先輩は、エアコンの効いた車内でうたた寝していた。
ドアを叩いて夢心地の先輩を起こして、乗り込む。
肝心のカタログは、印刷屋に無理を言って早い時間に先に倉庫に入れてもらっていた。
倉庫の方にも手伝ってもらえたので、思ったより早くタウンエースに積み終わらせることができた。
10時頃には東名高速に乗り、運転を交代しながら大阪へとタウンエースを走らせる。
実は、この時、私達は焦っていた。
第二話:大阪へ に続く





























































