35.ほくろ
職場の知り合いに不幸がありました。
1歳になる兄の子が亡くなったそうです。
そこで私にもお経をあげてほしい。というのです。
同じ宗派なのでその家を訪ねました。
枕経の前でした。
おばあさんにあたる女性が,
「お坊さん。この子。生まれ変わるときもう一度この家に生まれ変わらせてください。お願いします」
と。
そんなこと絶対にできません。
とも言えず。
「お心お察しします。ほんとうにご愁傷様です」
と言いましたが,おばあさんは,
「よったん(仮名)。よったん。もう一度この家に生まれてきてね」
と,耳にマジックで点をつけたのです。
まるでおばあさんの涙のような水滴の形に。
内孫で,かわいくてかわいくて仕方なかったんでしょうね。
両親より取り乱しておられました。
それから,3カ月ほどたった時。
知り合いが,とんでもない電話をよこしたのです。
「先日亡くなった『よったん』覚えてるか。よったんが生まれ変わってきたで。俺の家に。 涼太(仮名)の耳に『雨だれの形をしたほくろ』が現れたんや」
知り合いには2歳になる涼太という男の子がいました。
おばあさんの執念でしょうか。
それとも,本当に生まれ変わってきたのでしょうか。
そのほくろ。おばあさんのつけた場所と形が全く一緒でした。
しかも,日に日にはっきりしてくるということです。
この話を聞いたとき鳥肌が立ちました。
友人(ポックルさん)のお坊さんから同じような話を聞いたことがあったからです。
生きている人の一念(執念)というのは すざましいものです。