再来週に予定されている定期試験に向けて、今回の課題本 I, Robot を今週の授業で読了しました。英文自体はさほど難しくありませんが、ストーリー展開を読み解くのに生徒が苦労する短編が幾つかありました。Bookwormsシリーズでは難易度が上から2番目のStage5にランクされる所以なのかもしれません。そんな Bookworms 版との違いが気になったので図書館からオリジナル版を借りてきました。
まずタイトルを比較すると、Bookworms版では、オリジナル版に含まれる9つの短編のうち6つが取り上げられていることが分ります。また、若い雑誌記者が、50年に亘り「ロボット心理学者」として勤務してきた US Robot社を退職する Dr Susan Calvinに、彼女が携わった思い出深いロボットの話をインタビューし始めるというオリジナル版 "Introduction" の内容が、Bookworms版では "Dr Susan Calvin" というタイトルのもと3頁で簡潔にまとめられています。
英語中級者向けに「翻案された(adapted)」Bookwoms版でも、オリジナルストーリーの面白さは十分に楽しむことができます。特に、今週読んだ "Evidence" では、ある人物が「人間なのか、ロボットなのか」を巡る議論のなかで、スーザン・キャルヴィン博士が「その人物がロボット三原則のいずれかを破る行動をしたら彼はロボットではないし、ロボット三原則に従うのなら、彼はロボットであるか、もしくはきわめて善良なる人間のどちらかでしょう」と語った後の次の会話が秀逸でした。
"So you're telling me that you can never prove him a robot?"
”I may be able to prove that he isn't a robot."
つまり、彼がロボットであると証明することは全くの不可能というのですね。
彼がロボットでないという証明は可能かもしれませんけどね。
一見すると「ないことを証明する」難しさを表す「悪魔の証明」の逆をいくような発言に思えますが、悪魔の証明の「ない」は「存在しない」ことなので、スーザンのいう「ない」とは性格が異なります。それにしても、ロボット三原則に従うロボットと完全無欠な人間とを見分けることはできない、という彼女の指摘には大いに考えさせられるものがあります。
こんな具合に、"I, Robot" に収められたどの短編も「ロボット三原則」をベースに物語が展開していきます。その大半は、三原則の間に生じる何らかの矛盾から始まる起承転結のストーリーになっています。そうした構図(プロット)が英語を通して理解できるかが今回の多読テキスト読解のポイントと言えるでしょう。これまでの定期テストと同様、次の試験でも30点分がこの "I, Robot"から出題されると思いますが、学校の先生がどんな問題を作るのか今からとても楽しみです。