岩崎宏美、郷ひろみ、田原俊彦といった人気歌手に数多くのヒット曲を提供し続けた筒美京平さんですが、一曲だけ(シングル盤のカップリングを考慮すれば2曲だけ)を提供したアーティストたちもたくさんいます。たとえば、以前取り上げた sweet pain は Misia さんに提供した唯一の曲でした。そして最近知ったミズノマリさんが唄う「恋をする」もそうした「一期一会」の一曲といえます。しかも作詞が私の大好きな古内東子さんという奇跡的な組み合わせなのに驚きます。
どういう経緯でこうした夢の共作が生まれたのかは分かりません。ただ、この曲が収録されたアルバム "mariage" の曲目リストを見ると何となく予想がつきます。
それは収録曲の作・編曲者のなかに西寺郷太、NONA REEVES という名前が見られることです。西寺さんがリーダーを勤める NONA REEVES は2000年に発表した <LOVE TOGETHER>で京平さんのプロデュースを受けています。そして彼自身はその当時のことを「あれはひとつの音楽学校、京平短大だったのかな」とある雑誌のインタビューで述べていました。そんなわけで、"筒美京平山脈" に連なるミュージシャンの一人である西郷郷太さんが触媒となって「筒美京平×古内東子」の組み合わせが生まれたに違いないと勝手に憶測する次第です。
それはともあれ、「恋をする」はミズノマリさんの声にぴったり寄り添うメロディーであり歌詞であると思います。憶測ついでにいえばおそらくこの曲は「詩先」だと思いますが、「また恋をする 恋をする♪」のフレーズが私はたまらなく好きです。
私の知らない京平さんの名曲がまだまだどこかに隠れているようです。