昨日行われた大阪女子国際マラソンで天満屋の前田穂南選手が19年ぶりに女子マラソンの日本記録を更新しました。従来の日本記録は、2004アテネ五輪の金メダリスト野口みずき選手が2005年のベルリンマラソンで樹立した 2時間19分12秒 でした。これを13秒上回る 2時間18分59秒 でゴールしたのが前田選手でした。

 

パリ五輪マラソン出場の最終1枠がかかったこのレースは中盤まで日本記録を上回るペースで推移していました。それにもかかわらず、21キロ過ぎに前田選手がペースメーカー(新谷仁美さん)を置き去りにして一人前に抜け出したときは鳥肌が立ちました。しかしその積極果敢さこそが日本記録更新という快挙につながったわけです。

 

 

2時間18分59秒 を前半と後半のラップで見ると、中間点までが 1時間9分46秒 でしたから、1時間9分13秒 だった後半の方が早かった走りも驚きです。マラソンの世界的な潮流である ネガティブ・スプリット を前田選手は意識していたのかもしれません。もちろん、前半よりも後半の方が速い ネガティブ・スプリット の走りを実現できるだけの練習を彼女が積んできたからこその成果です。

 

ゴールに向かう前田選手の背後には電光掲示板のタイムカウントが18分台から19分台に移る微妙な数字を刻んでいましたが、結果は(2時間)18分59秒。たかが1秒、されど1秒、この1秒の重みはとてつもなく大きいものです。マラソンの神様が前田選手のひたむきな努力に与えてくれたご褒美のように私には思えました。