今日の午後、久々に読書会(ヴォアールの会)に参加しました。昨年の9月以来のことです。何せメンバーのなかでは私が "若手" となる高齢者集団ですので、コロナには人一倍敏感で長らく休会になっていました。ようやく再開された今日の読書会には11人が集まり、マスク越しながら、発表毎に交わされる発言がいつになく活発であったような気がします。コロナ自粛で溜まったストレスをお喋りで解放したかったのかもしれません。本日のラインナップは以下の通りでした。

 

❶ 深海の使者 (吉村 昭)

 

 

❷ お探し物は図書室まで (青山 美智子)お探し物は図書室まで 

❸ ねこのポチ (岩本敏男+画家・宮崎耕平)

❹ 女人平家 (吉屋 信子)

❺ 昭和天皇伝 (伊藤 之雄)

❻ 音楽の危機  (岡田 暁生)

❼ ヒトの壁 (養老 孟司)

❽ 物言う小箱  (森 銑三)

❾ 死を見つめる心 (岸本 英夫)

❿ 森鴎外  (海堂 尊)

⓫ 生の欲望  (森田 正馬)

 

❶ は、第二次大戦中、同盟関係にあった日独間の物資の輸送、人員の送迎を担っていた海軍潜水艦乗組員たちの知られざる苦闘と悲劇を描いた戦記文学とのことです。片道3ケ月、3万キロにわたる航海のほとんどが失敗に終わったと聞いたとき、紹介者の 「負けるべくして負けた戦争であることがよく分かった」 という言葉に強い共感を覚えました。

 

❹ は、NHKの大河ドラマ 『鎌倉殿の13人』 に触発されて昔読んだ本書を手に取ったそうですが、あまり知られていない平家のお姫様達の物語と聞いて興味を掻き立てられました。紹介者が言われた 「きれいな日本語で書かれている」 というひとことも印象的でした。また、❽ に収められた 『朝顔』 という小品を紹介者がその場で朗読してくださったのですが、とても心に残る作品でした。この二冊は併せて読んでみたくなりました。

 

今回私が紹介したのは ❷ ですが、2021年本屋大賞 の2位になった作品です。同年1位になった 『52ヘルツのクジラたち』(町田その子著) は昨年読んだのですが、そのときはまったく気づいていませんでした。"図書室" という言葉に惹かれてたまたま手に取った本書には、思いのほか心を揺さぶられる五つの短編が収められていました。ふとしたことで訪れた町の小さな図書室で、ユニークな司書から薦められた意外な本と彼女お手製の"付録"によって、仕事や人生に行き詰まっていた5人がそれぞれに 「自分が本当に探していたもの」 を見つけるお話です。

 

ちなみに、2022年の本屋大賞 は、ロシアのウクライナ侵攻という国際情勢が重なったこともあってか、独ソ戦における女性銃撃兵を描いた 『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬著) がダントツの1位になりましたが、2位は今年も青山美智子さんの作品(『赤と青とエスキース』)でした。今回は是非読んでみようと思います。