これまで塾の授業では、生徒たちの興味深い間違いを色々と見てきましたが、今日の "新種" もなかなか味わい深いものがありました。「間違いは "分かる" の第一歩」 という考えから、いつも生徒には 「塾ではどんなに間違えても構わないよ」 と言っていますが、今回のケースもそうあってほしいものです。

 

4月から一緒に勉強している中1生ですが、授業冒頭の確認テストでこれまで習った項目から前回出来なかったもの、まだ理解が不十分ものなどを取り混ぜて、全部で12問の英作文を出題しました。この中で、いわゆる "三単現" の理解を見る問題をとびとびに3つ入れました。それに対する彼の解答は以下の通りです。

 

❶ 私の母は、たいてい6時に起きます。

     My mother is usually get up at six.

❼ 私の兄はしばしば私の宿題を手伝ってくれます。

     My brother is often help my homework with me.

⓬ あなたの学校には生徒が何人いますか。

     How many students does your school have?

 

⓬ はきちんと書けていましたが、❶ と ❼ を最初に見た時、英語の初学者によく見られる "be動詞と一般動詞の混在" という間違いかと思いました。この生徒はすでにクリアできていると思っていたのでちょっとショックでした。しかし、⓬ を見ると三単現の "does" が正しく使えています。それに、❶ と ❼ の間違い方は全く同じパターンですし、⓬ とは違う肯定文での三単現です。そこで生徒に聞いてみると、「最近、三単現が分からなくなることがあって …」 という答えです。それでピンと来たのは、両者に見られる "is" が、彼にとっては三単現の "s" のつもりだった、だから同じ理屈で同じように間違えたのだ、と。

 

そこで改めて三単現についての説明と、❼ の "help" という動詞の使い方(help 人 with 物事) の復習をしたのですが、この間違いをきっかけに理解が深まってくれればと思います。あやふやだったにせよ、彼なりの考え方があっての間違いです。その思考プロセス自体をきちんと修正できなくては、また同じ間違い、あるいは別の間違い方につながってしまいます。

 

以前読んだ 第二言語習得論 では、英語の三人称・単数・現在の習得には時間がかかると指摘されていました。そういう意味では焦ることはないのかもしれません。次にどんな間違い方が飛び出したとしても、鷹揚に受け止めて軌道修正をしてあげればいいのですから。