昨日の記事 dream of のなかで触れた動詞 "hope" を使った、こんなことわざがあることをジーニアス英和辞典で知りました。

 

Hope for the best and [but] prepare for the worst.

最善を望み、かつ 〔しかし〕 最悪に備えよ

 

日本ならば 「備えあれば憂いなし」 といったところでしょうか。いずれにせよ、"hope" は名詞(代名詞)を目的語にすることができず "hope for" という形をとる用例として覚えておきたいことわざです。また、"hope for" の形であれば "want" などで使われる 「~ が … することを」 という表現パターンが可能になるようです。

 

I hope for him to come. 彼が来ることを望んでいる。

(参考) I want him to come. 彼に来てもらいたい。

 

しかし、「文法的に可能である」 ことと 「実際に使われる」 ことは別物で、この場合は "I hope (that) he'll come." というのが普通だといいます。

 

さらに、このことわざの後段の "prepare" については、これまで "prepare" か "prepare for" かで迷ったことがありましたが、辞典ではこんな対比例を使って説明していました。

 

prepare an exam と prepare for an exam を比べると、前者は教師が試験の準備をすることを指し、後者は多くの場合、生徒が試験勉強をすることを指す

 

この違いは、"leave Tokyo for Paris(東京を出発してパリに向かう)" の "leave" と同じような関係かもしれません。"leave" は他動詞の目的語として出発点を置くとともに "for" を添えて行先を指定することができます。さらに、"leave Tokyo" や "leave for Paris" とどちらか一方だけを使うこともよくあります。

 

"prepare" も同様に、目的語には 「(準備される)物・事」 が置かれ、"for" の後には「(準備する)目的」 が続くと考えられます。したがって、"prepare a news report for the press (印刷に回すために記事を準備する)" といった表現が可能になるわけです。

 

こうやってみると、このことわざは "hope" と "prepare" の使い方を説明するための良い題材になるような気がしてきました。