これは 雑誌 "プレジデント 2017.12.4 号" の 「脳によい習慣、最悪の習慣」 という記事に掲載されていた図です。筆者である "脳の学校” 代表、加藤俊徳さんによれば、脳番地とは、「同じような働きをする脳細胞の集まりと、その脳細胞を支えている関連部位の総称」 で、脳全体では120の脳番地に分けられるといいます。上図に挙げられた8つは、そのなかでも主要となる脳番地の系統だそうです。これを表形式に書き直すと以下の通りです。
 
 
興味深いのは、❻ 聴覚系脳番地 が発達している人の例に 「塾講師」 があげられている点です。たしかに、授業中、生徒と会話によるやり取りはありますが。量で言えば 発信>受信 という関係なので、他の人と比べて特に発達しているのかどうか疑問です。おそらくここでは、私のような個別指導ではなく、集団指導している塾の講師が想定されているのでしょう。というのも、プレジデントの記事では、音楽を聞くときに 「特定の音を聞く」、つまり、多くの音の中から特定の音だけを拾い上げることで聴覚系脳番地が鍛えられると説明しているからです。
 
この”8つ”の分類を見て思い出したのは、ハ-バ-ド大学のハワ-ド・ガ-ドナ-教授が提唱した 多重知能理論 です。こちらは、人の知的システムを、以下の”8つ”の独立した知的機能の相互作用としてとらえています。
 
 
この2つの表を比べると、部分的に重なり合うところがあるように見えますが、脳細胞が人の知的活動を実質的に支えていると考えれば当然のことといえるでしょう。
 
脳は継続的に使っていけば100歳になっても成長する反面、使われない部位は徐々に劣化していくといいます。加藤さんは 「仕事のマンネリが頭を悪くする」 という表現をされていますが、パターン化した仕事、つまり 「マンネリ」 が脳の劣化の一番の原因だというのです。そうした 「特定の脳番地以外がうまく使えていない」 事態にならないためには、普段使っていない、あるいは、これまで使ってこなかった脳番地を意識的に使う必要がありそうです。そしてそれは、現役ビジネスマンに限らず、定年後の人生においても大事なことなのだと思いました。