最近は ATM (現金自動預け払い機) でほとんど用が足りてしまうので銀行の窓口に行くことがなくなりました。ふと "ATM" は何の略だろうと気になったのですが、”T” の元の言葉が思い浮かびません。辞書で調べると Automated Teller(Telling) Machine とあります。そういえば銀行で 「窓口業務」 を担当する人を "teller: a person employed to deal with customers' transactions in a bank" と呼ぶのでした。

 

ONLINE ETHYMOLOGY DICTIONARY では ”tell" の語源を ”Old English tellan "to reckon, calculate, number, compute; consider, think, esteem, account" と説明していますが、もともと 「数える(reckon)」 という行為を表す動詞だったようです。数えたらその結果を誰かに伝えることになるのでしょうから、「言う・話す」 という意味が派生したのだと思います。

 

この 「言う・話す」 に関連する英単語は幾つかありますが、大学入試の模擬試験では、しばしば tell, say, speak, talk の4つが出題されます。それぞれの特徴は次のようなものです。

 

[tell] 原則として他動詞。「人」 を目的語にとる。tell 人 A の二重目的語の形が可能。

[say] 原則として他動詞。「発言内容」 を目的語にとる。say A to 人 の形。

[speak] 原則として自動詞。「話す・演説する」 の意味。speak to 人 about A の形。

[talk] 原則として自動詞。「話す・話し合う」 の意味。talk to[with] 人 about A の形。

 

これに対して、先ほどの ONLINE ETHYMOLOGY DICTIONARY でそれぞれの単語の語源を調べると次のようになっていました。

 

[tell] Old English tellan "to reckon, calculate, number, compute; consider, think, esteem, account"

[say] Old English secgan "to utter, inform, speak, tell, relate," from Proto-Germanic sagjanan

[speak] Old English specan, variant of sprecan "to speak, utter words; make a speech; hold discourse (with others)"

[talk] c.1200, talken, probably a diminutive or frequentative form related to Middle English tale "story," and ultimately from the same source as tale

 

語源的に見ると、tell は 「思考動詞(think, consider 等)」 的な意味を持つ言葉であることから、伝達内容に重きを置く使い方になるように感じます。これに対し say と speak は "utter(口にする、声にだす)” という発話行為が中心のようです。talk は他の3つに比べると比較的新しい単語で、"tale(話・物語)" との語源関係があるため、"talkative(話好きな・おしゃべりな)” という形容詞にするとそのニュアンスがよく分かります。

 

いつかまた塾の授業で、この4つの動詞の違いを説明する機会があるときは、まずは ATM から話を始めてみようと思います。