放射線科の受付の前を通り過ぎ、
長い廊下の突き当りの階段を下ると
待合室がある。
放射線科の受付の前は
通り過ぎるだけなのだが、
ここにいつも座っている
男女の係りの方が
来た時と、帰る時に
とびきりの笑顔で挨拶してくれる。
日本では笑顔とあいさつはセットだが
こちらの人は、無表情での挨拶が多い。
笑顔で挨拶してくれるだけでも
嬉しいのに、通い始めて数日後から
名前を呼んでくれるようになった。
「こんにちわ、tedescaさん」
「さようなら、tedescaさん」
「また明日、tedescaさん」
「良い週末を!tedescaさん」
というように。
名前を呼ばれると、
挨拶が心の奥まで届いてくる。
もう25年以上も前だが、
日本の百貨店に勤めている人が、
「お客様がクレジットカードで
支払うとお名前がわかるので、
〇〇様、お買い上げありがとうございました。
と名前を付けて挨拶すると、
親近感が増して、リピートしてくれる」
とか何とか、そんな話を聞いたことがある。
今は個人情報だから名前は見て見ないふり
なのかもしれないけれど。
このお二人の笑顔のおかげで
4週間の治療を乗り切ることができた。
百貨店のように、病院にはリピート
したくないけれど、
治療が終わった後、このお二人の笑顔を
また見たいなと、時々思った。
ガン病棟と放射線科の看護師さん、
技師の方々は特に精神的にハードな毎日なのに
いつも笑顔で、気持ちよく対応してくれた。
5年前を思い出して
今も胸がジーンとする。

