なんとなく朝気ぜわしく出かけるのが嫌になり、
秋から午後の講座に通うようになった。
午前中のクラスに比べて生徒数が少なくて落ち着いている。
夏前に飽和状態になった頭もクールダウンして、
また少しずづドイツ語が頭に入ってくるようになった。
そのクラスで友達になったのがインドネシア、
フローレス島出身のカトリック教会の神父のJ。
30歳過ぎだろうか?
フローレス島の80%はカトリック教徒。
彼はウィーンのカトリック教会に派遣されてきていた。
修道院で暮らし、ドイツ語コースに通い、
教会ではミサを行っていた。
彼とは放課後よくカフェに行きおしゃべりした。
修道院に帰ればすべてが教会関係者。
思っていることすべてを話すことができなかったのかもしれない。
それに同じアジア人同士、私には話しやすかったのかもしれない。
なぜ神父は男性のみなのか、なぜ結婚が許されないのか、
自分が恋愛も結婚もしていないのに、一般信者の悩みに答えるのは
難しいという彼の悩み、次のローマ法王に期待することなど
彼はいろいろと打ち明けてくれた。
一番驚いたのは、教会にいる修道女が彼に気があるかもしれないと
相談を受けたこと。
私もその教会に遊びに行った際に彼女に挨拶をしたが、
若くてかわいらしい東欧出身の修道女だった。
J曰く、彼女の親切が並み大抵ではない。
そして彼がひとりきりでいる時に限って、
早朝、深夜を問わず彼のところに来るのだという。
インドネシアにいた時も女性に言い寄られたことがあり、
僕は結婚できない身だからと説明しても、
彼女は今も彼のことを想っているのだと。
イケメンとはとてもいいがたいけれど、気の優しい穏やかな男性で、
そんな話をした後はいつも、僕は何にもしてないよ、って笑った。
ウィーンで初めて雪を見たという。
Jを連れて、その当時仲良くしていた同じクラスメートの
日本人夫妻とアイススケートに行った。
氷の上で滑るなんて!と大はしゃぎだった。
その後フローレス島に戻ったが、2004年のスマトラ島沖地震の際も
無事に生き延びたと知った時は本当に安堵した。
その当時FBをしていて、JとFBでつながった翌日、
私に10人以上のフローレス島の修道女からの友達申請が来た。
次の日はさらに増えていた。
相変わらずだなと思った。
