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おすすめ度: ☆☆☆☆ (Very good)
ビリー・ワイルダー監督、ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン主演の「アパートの鍵貸します (The Apartment - 1960)」。1961年度のアカデミー賞で作品賞や監督賞を含め計5部門を受賞したロマンチックコメディの傑作です。

近頃の洋画の日本語タイトルはなっとらん!なんてお堅いことは言いませんが、私なんぞはこの日本語タイトルだけでイキだねえ~なんて思ってしまい、観る前からワクワクしてしまいます。

ニューヨークの大手保険会社に勤めるバクスター(ジャック・レモン)は出世するために、自分のアパートの鍵を上司達に貸していた。上司達は彼の部屋を使い情事を楽しんでいたのだ。そして今度は人事部長のシェルドレイク氏(フレッド・マクマレイ)まで、彼の鍵を借りに来た。でも彼の新しい情事の相手はバクスターが密かに思いを寄せるエレベーター嬢のフラン(シャーリー・マクレーン)だった…。

ビリー・ワイルダーはコメディやミステリ・ドラマで傑作を数多く監督しましたが、彼は脚本家出身。脚本家出身の監督さんは往々にして自分の脚本をなるべく忠実に映画化しようとして、編集(カット)がうまくなく、長尺な作品になるパターンが多いとよく言われますが、彼の場合は実に編集も巧みで、どの映画もストーリテリングが上手いですよね。

よく結末が容易に予想できる、なんて言う人がいますが、フランク・キャプラやビリー・ワイルダーのコメディはそれは十分承知の上での映画作り。それでも何度観ても飽きずに楽しめるのが彼らの映画の優れどころ。

そしてアルフレッド・ヒッチコック監督の「ハリーの災難 (The Trouble with Harry)」で映画デビューしたシャーリー・マクレーン。正直申して「ハリーの災難」ではあまり彼女に魅力を感じなかった私ですが、この作品のシャーリー・マクレーンはいい感じでした。恋に悩む女心がよく出てるし、なかなか魅力的。コンパクトの鏡が割れているのを見て、「いいのよ、これで。私の心境がよく現れているから…。(I like it that way. Makes me look the way I feel.)」なんて、繊細な乙女心がよく出てますよね。

まあ少しだけ言うならば、ジャック・レモンはあれだけシャーリー・マクレーンを愛していたはずなのに、ラストで上司のフレッド・マクマレイとマクレーンが結ばれそうになると分かると、彼女に猛烈にアタックする訳でなく、すべてに失望して会社を辞めて、何処かへ行こうとしてしまうんです。でももちろん最後は結ばれてメデタシメデタシで、このラストシーンとその会話も本当にいいんですよ。

この映画は純粋な最初から最後まで笑えるコメディではなく、どちらかというと人間ドラマにうまくユーモアがブレンドされている作品といった方がいいかもしれません。ドラマの中にユーモアがうまく垣間見る作法は、本当にビリー・ワイルダー監督に脱帽です。