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おすすめ度: ☆☆☆☆ (Very good)
サム・ウッド監督、ゲイリー・クーパー、テレサ・ライト主演の「打撃王」です。筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう、ALS)で若くして命を失った野球選手ルー・ゲーリッグの伝記映画です。この舌を咬みそうな病名は別名ルー・ゲーリッグ病と呼ばれています。そう、この有名な野球選手の名を取って名付けられたのです。この映画は彼が他界してすぐに制作されて、彼に敬意をこめた、本当に心温まる映画になっています。映画のタイトル「打撃王」から野球好きの人のための映画の印象を受けるかもしれませんが、野球のことを全く知らなくても十分楽しめる映画になってます。

私は日本にいる時は野球場に行った事は殆どなく、野球も見ませんでした。でもアメリカに来てからは、野球場によく行くようになりました。何故って?こちらで野球を見るのは本当に楽しいんですよ。日本と違ってうるさい応援団はいないし、ちょっとしたことですが、球場に来たお客さんを楽しませる趣向がいっぱい。それに野球場の芝生が本当に青々して美しい!まあ私が日本で野球場へ行ったのはもう20年も前のことですから、今では日本でもすっかり趣向が変わっているかもしれませんが…。そんな中で、アメリカの球場では、どこの球場でも絶対に行うことがあります。一つはもちろんプレイボール前に国家を歌うことですが、もう一つは7回の表が終わった時に(地元チームのラッキーセブンの攻撃が始まる前に)、「私を野球の試合に連れてって(Take Me Out To The Ball Game)」をみんなで楽しく歌うことです。
Youtubeの映像を見てみてください。
http://www.youtube.com/watch?v=7AEAPgR1zGA&mode=related&search=

そしてアメリカのプロの選手はいろいろ地元のボランティア活動をします。一番よく行われるのは、この映画に出てくるような、病院で入院している子供を訪れることです。こういった活動で子供に夢と希望を与えることは、試合でプレーすることと同様に非常に重要と考えられているからです。こういったボランティア活動をする旨が労働規定に入っているケースもあるほどです。

なんだか、この映画の話というよりは、野球全般の話しになってしまいましたが、この映画は最初にお話したとおり、野球映画(スポーツ根性もの)というより、貧しい移民の子として育ったルー・ゲーリッグという一人間に焦点をあてた、彼の魅力が良く出ている映画と思います。

昔の伝記映画ですから、多少事実と違った(あるいは誇張した)脚色(dramatization)をしたところとかはあると思いますが、ゲーリッグの母親は貧しく学校も行けず育ったため、彼には教育をしっかり受けて技術者になってもらおうと望む母親。大学に入っても、裕福な同級生から、からかわれることの多かったゲーリッグ。ヤンキースの一員になってからも、最初は出場の機会も限られていたこと。野球選手の彼をずっと支えてきた献身的な彼の妻、などなど。彼の苦労と栄光の歩みが映画からひしひしと伝わってきます。

彼の引退式典で、「私は地上で最も幸せな男です(Today, I consider myself the luckiest man on the face of the earth.)」と語った有名なスピーチは、この映画のラストでも聞くことができ、私なんかは目頭が熱くなってしまいます。

ベイブ・ルースをはじめ当時の実在のヤンキースの選手も主演していて、野球ファンにはそれだけでも一見の価値はありますし、野球ファンに夢と希望を与えたルー・ゲーリッグをゲイリー・クーパーは実に巧みに熱演していて、特に彼のファンなら是非見ておきたい作品です。

写真下は実際のルー・ゲーリッグ(左)とベイブ・ルース