
おすすめ度: ☆☆☆☆ (Very good)
ビリー・ワイルダー監督、ジェームズ・スチュアート主演の「翼よ!あれが巴里の灯だ(The Spirit of St. Louis - 1957)」。世界初の大西洋横断無着陸飛行を達成したチャールズ・A・リンドバーグの同名の自伝回想録の映画化です。ビリー・ワイルダーはミステリー・サスペンスよし(「深夜の告白(Double Indemnity)」や「情婦(Witness For The Prosecution)」)、コメディよし(「お熱いのがお好き(Some Like It Hot)」や「アパートの鍵貸します(The Apartment)」)、人間ドラマよし(「サンセット大通り(Sunset Boulevard)」)で、本当にいろいろな分野で傑作を世に送り出しましたが、この伝記映画も彼の才能が発揮された見応えある作品と思います。
この映画はジェームズ・ディーンがリンドバーグ役で主演するはずだった映画としても有名で、彼の事故死で、ジェームズ・スチュアート主演が決まりました。リンドバーグが大西洋横断を達成した時は25歳で、ジェームズ・スチュアートは映画に主演した時は既に47歳でしたが、顔のアップのシーンが少なかったのか、さほど気にはなりませんでし、目標達成の情熱に満ちたリンドバーグ像がうまく演じられていたと思います。
飛行の前日はプレッシャーのあまり一睡も出来なかったこと、出発当日は天候も悪く最悪に近いコンディションだったこと、飛行中に何回も睡魔に襲われたことなどが描かれると、この偉業を達成できたことは既に分かっていても、その度に緊張感が高まってくるのはやはりビリー・ワイルダーの演出の上手さといったところでしょうか。
それに加えて、出発前にもらったコンパクトの鏡や、神父からのペンダントなどの小道具も映画の中で非常に効果的に使われていて、こういった所もさすがです。
この映画と直接関係はありませんが、「My One And Only」というブロードウェイのミュージカルがありました。これはリンドバーグが大西洋横断を目指している時に、もう一人のヒコーキ野郎がいて、リンドバーグより先に世界初の単独飛行を行おうとするお話しでした。彼の飛行機はリンドバーグの「セントルイスの魂」号より先に完成し、リンドバーグより先に世界初の横断飛行を達成できるはずでしたが、名声より恋人との愛を選択したというラブロマンスのミュージカルでした。1983年から85年まで2年程度上演され、私はブロードウェイキャストではなく、セミプロの上演を見たのですが、こちらの方も私は結構気に入りました。
シネマスコープで撮影されたこの映画は、ラストでフランスのル・ブルジェ空港に近づき、凱旋門やエッフェル塔が見えてくるところなどは劇場の大スクリーンで見たら、まるでリンドバーグと一緒にこの初飛行を体験しているようで、本当に感動ももっと大きいだろうと思いました。出来れば家庭でも大画面のTVで見たいところです。でも画面が小さくても大丈夫。私なんぞは今となってはもう小さくなった27型のTVで見ても、やっぱり感動しましたから(笑)。