感想文 「アントキノイノチ」を読んで | 二代目社長の告白

二代目社長の告白

かまえオフィスブログからタイトル変えました。

会社を継いでから、思うことを書いていきます。
これから二代目になる人のためのブログです。

 「アントキノイノチ」という小説を読んだ。
 
 この小説は、精神疾患を持つ青年が、
遺品整理業という仕事を通して、働くことや人生について、
そして精神疾患の原因を見つける過程を描いたものだ。

 印象に残ったものは、次の二つ。

 一つは、ここに出てくる青年を苦しめるクラスメイトの存在。
 
 ここまでひどくはないが、今までの私の短い人生でも
こういう人はいた。とにかく嫌な奴なのだ。彼が出てくるシーンは
とにかくハラハラする。そしてこの小説の著者は、さだまさしさんなのだ。

 さださんがこの嫌な奴をリアルに描いていることに、意外というか、
さださんもこういうことを知っている人なのだということを、知って
何だかほっとしたのだ。
 
 なぜかというと、さださんの歌を聴いたことのある人ならば
わかると思うが、物語を歌ったものでも、ここまで嫌な奴は出て
こないからだ。
 さださんのイメージの中にこういう性格はない。
 こういう人間(悪いことを平気でできる性格)がいることを
よく知っていることが、印象に残ったのだ。

 
 もう一つは、遺品整理業という仕事だ。
 
 遺品整理業とは、亡くなった人の遺したモノを片付ける仕事だ。

 亡くなった人と云っても、家族に看取られて亡くなる人ではなく、
自殺や孤独死などで、警察が遺体をその場から運んだ後、
その遺されたモノをあるときは遺族に送り、モノによっては捨て、
整理していく仕事なのだ。

 想像してみてほしい。
 自殺や孤独死などで、人に知られずに
遺体が何日間も放置されている状況を。

 それだけで何ともいたたまれなくなるのだが、
そこへやっと誰かが気がついて警察に通報し、
遺体だけがなくなっている部屋を。

 そこへ入っていって、大事なモノを取り出し、
片付け、掃除していくのだ。

 決して美しくないところに入っていって、その亡くなった人のものを
整理していく。この小説で、北島さんという人が亡くなった部屋へ
入って行くシーンは壮絶。
 
 これ以上は書けない。

 遺品整理業という仕事をしている人は、それでも誇りを
持ってやっている。印象的な場面は、
 
 主人公の永島青年に、職場の先輩の佐相さんが声をかけるシーン。

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「さ、永島君、仏さんを助けに行こう」

 中略

「さ、始めるら。俺らの仕事はね、亡くなった方のお部屋の後片付けだに」
佐相さんが柔らかく笑った。
「つまり、ま、仏さんの忘れ物の、天国への引っ越し屋さんなんだに」

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これは誰かが必ずやらねばならない仕事だ。

 すごい仕事だ。普通こういう仕事にスポットライトは当たらない。
こういう仕事にスポットライトを当てたさださんは、すごいと思う。

 この小説でもっとも伝えたいことは他にあるのだが、
それを言葉にするのは少し難しく、またいつか書きたいと思う。
知りたい人はぜひ小説を読んでほしい。
 
 この本は、久しぶりの大阪出張で、帰りの新幹線の中で
一気に読んでしまった。今年の11月に映画も上映される
そうなので、見てみたいと思う。(北島さんの部屋のシーンは
見たくないが、興味はある。再現されるのだろうか)

 前回と違うことを告白しなければいけない。

 感想文は難しい。簡単ではない。