『世田谷一家殺人事件 侵入者たちの告白』 | 行く河の流れ

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行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。

 齊藤寅というジャーナリストが書いた本で、草思社から出版されている。2000年12月30日から大晦日にかけて起きた「世田谷一家殺害事件」の犯人にジャーナリストとして迫っている。
 当初、この事件はあまりにも膨大な犯人逮捕に繋がる遺留品が残されていた為、早期解決が予想された。しかし、今現在も依然として犯人は逮捕されていない。
 齊藤氏の自らの取材を通じて事件の核心部分に迫っているという点、それと現在の警察の問題点を浮き彫りにしているという点で僕はこの本を興味深く読むことができた。
 まずこの事件の犯人像として「クリミナル・グループ」の存在を挙げている。このクリミナル・グループの特徴を具体的に5点挙げている。
1.国籍混合の留学生グループ、それも犯罪を行うために結成されたグループの存在。
2.それらグループが全国各地にあって、これが心細い生活を日本で強いられている彼らの
 精神的支柱にまでなっていること。
3.各グループはいついかなるところでも、あるいは初対面でも同じ匂いを嗅ぎ分けて行動
 を共にする暗黙の了解が成り立っているということ。彼らの離合集散の機敏性。
4.留学生による犯罪グループの精神性。日本に対する歪んだ思い。
5.極端な拝金主義
 当たっているのか当たっていないのかはわからないが、現代の日本における犯罪の一側面を示しているとは言えるだろう。
 次に彼が指摘するのが日本警察のセクショナリズムの問題点である。警察内の管轄によって事件を全県が有機的に結びついての捜査が困難となっている。各セクションによって重要な書類が隠されたり、何十枚という資料の一番下に置かれたままになったりしている。重要な証拠が「点」でしか存在していない現状があるらしい。そして齊藤氏はジャーナリストというフットワークの軽さによって情報である「点」を統合し一本の「糸」に紡いでいくことができたと自負するのだ。
 この本に書かれている真偽のほどはわからない。しかし読んでみていつ自分達が犯罪に巻き込まれるかわからない世の中に生きているという戦慄を覚えた。