『アラビアのロレンス』 | 行く河の流れ

行く河の流れ

行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。

 第一次世界大戦中、アラブの独立に燃えたロレンスがベドウィンの部族を率い、砂漠社会で称えられていくようになる物語である。
 僕は世界史をずっと勉強してきていて、高校生の頃からいつも第一次世界大戦の単元になるとこの映画のタイトルが先生の口から出てきていた。予備校時代の先生もそうだし、今となってもこの時代の書物を読むとこの映画のタイトルが出てくる。気にはなっていたのだが縁がなかった。
 最近また世界史を勉強し始めたので、ちょうど良い機会だし観てみることにした。僕の家にはDVDを観る機器がない。唯一はパソコンなので夜になりカーテンを閉め、ヘッドホンを付け、ゆったり座れる椅子に腰掛け鑑賞した。
 僕が以前から勝手に想像していたロレンス像が全くもって僕個人の想像の産物であることにまずは驚いた。「イギリスとフランスのサイクス・ピコ協定に反旗を翻し、アングロサクソンにも関わらずアラブ独立に尽力した英雄」だと思っていた。よって僕の中でのロレンスは勇ましく、頭脳明晰、人道的見地から世界を観ることができる人物という像が出来上がっていたのである。
 次に驚いたのが砂漠の美しさである。現代のCGによれば再現は可能かもしれないが偽物はどこまで再現しても偽物である。この映画には本物の砂漠があった。これだけの奥行きと拡がりのある砂漠はパソコンの17インチの画面で観るのはもったいないと感じた。素晴らしい。
 街の映画館がどんどん潰れていく。名作を頑なに上映し続ける映画館があったらいいのに。