こんにちは。引き続きISO運用の大誤解、マニュアル等の文書についてのお話です。
「内部監査」と聞くと、
文書を確認する、記録をチェックする
そんなイメージを持つ方が少なくありません。
でもこれは、ISO運用における 最大級の誤解 です。
内部監査の第一目的は、
“業務(プロセス)が有効に機能し、成果につながっているか”
を確認すること。
文書を見るのは、その業務パフォーマンスを裏付けるための
補助的な視点 にすぎません。
今回は、内部監査で文書体系とどう向き合うべきかを整理していきます。
1. 内部監査の中心は「業務パフォーマンス」
内部監査で最初に見るべきは、文書ではなく 業務そのもの です。
内部監査が最優先で確認するポイント
- プロセスが計画通りに運用されているか
- 顧客要求を満たす成果が出ているか
- リスクや課題が適切に管理されているか
- 改善が継続的に行われているか
- 部署間の連携が機能しているか
ISO9001は「文書のための仕組み」ではありません。
業務の質を高めるための仕組み です。
内部監査も、業務の実態を中心に据える必要があります。
2. 文書体系は“業務の裏付け”として確認する
内部監査の主役はあくまで 業務パフォーマンス。
そのうえで、業務を支える文書体系が適切かどうかを確認します。
文書体系の確認は「業務の裏付け」
- 実際の業務の流れが文書に反映されているか
- 文書が古くて業務とズレていないか
- 文書が現場で使われているか
- 文書体系が“業務の説明書”として機能しているか
文書は業務の“影”のようなもの。
影だけを見ても実態はわかりません。
3. 文書体系の整合性という視点
文書体系の整合性は内部監査の主目的ではありません。
しかし、業務パフォーマンスを確認する際の 重要な補助線 になります。
文書体系の整合性が崩れると…
- 現場のやり方と文書がズレる
- 更新漏れが発生する
- 部署間で運用がバラバラになる
- 文書が使われなくなる
文書体系の整合性を維持することは、
業務パフォーマンスの安定性を支える“基礎体力” のようなものです。
4. マニュアル(一次文書)で確認するポイント
マニュアルは組織の“地図”です。
- プロセス構造が現状と一致しているか
- 規程・手順書への案内が適切か
- 組織の方針や体制が最新か
地図が古ければ、当然運用にもズレが生じます。
5. 規程(二次文書)で確認するポイント
規程は“組織の具体的なルール”。
骨格にあたる部分です。
- 権限・責任が明確か
- 業務ルールが現場で守られているか
- 手順書との役割分担が明確か
一次文書の大枠が、規程で具体化され、
現場で安定して運用されているかを確認します。
6. 手順書(三次文書)で確認するポイント
手順書は“現場の詳細な仕事のやり方”。
- 現場の実際の作業と一致しているか
- 担当者が理解し、使えているか
- 上位文書や記録と整合しているか
組織によっては、手順書が業務のすべてを規定している場合もあります。
御社に三次文書が存在するかどうか、
そして業務パフォーマンスにどれだけ寄与しているかを確認しましょう。
7. 記録(エビデンス)は“事実”として確認する
記録は、手順が実行された証拠です。
- 実際の作業の証拠になっているか
- 適切に管理されているか
- 文書と整合しているか
さらに踏み込むと、内部監査の価値が高まります。
- 記録が活用されているか
- 何に活用されているか
- 改ざんの懸念はないか
「うちではありえない」という思い込みはリスク管理になりません。
8. チェックリストは“業務中心”で作る
チェックリストは文書を確認するためのものではありません。
- プロセスの目的
- KPI
- リスク・課題
- 実際の業務の流れ
- 文書体系との整合性(補助的に)
これらを含めることで、文書主義に陥らない内部監査になります。
9. 文書主義に戻らないために
文書が主役になると…
- 文書作成が目的化する
- 記録を残すことが目的化する
- 現場が文書に振り回される
- ISOが“負担”になる
業務が主役になると…
- 文書は“業務を支える道具”になる
- 内部監査が“改善の機会”になる
- ISOが“組織運営の基盤”になる
ISOは文書のための仕組みではありません。
業務の質を高めるための仕組み です。
まとめ:内部監査は“業務が主役、文書は脇役”
内部監査の中心は、
業務パフォーマンスの確認 です。
文書体系は、その業務が正しく行われているかを裏付けるための
補助的な存在 にすぎません。
- 文書が主役になると、昔のISO(文書主義)に逆戻り
- 業務が主役になると、ISOは組織運営の強力な支えになる
内部監査は、文書を見るための活動ではなく、
業務の健全性と組織の成長力を確認するための活動 であることを、改めて押さえておきましょう。
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