こんにちは、ISO審査員日記です。
今日は、審査の現場で耳にした“ひとこと”から感じたことをお話しします。
管理責任者のつぶやき
「いつまで経っても改善指摘は出続けるものですね」
今回の審査が終わり、帰りの身支度をしているときに、組織の管理責任者の方がふと漏らした言葉です。
審査員補としての修行期間を終え、いよいよ私自身が審査員として独り立ちした最初の審査機会での出来事でした。
審査員補から審査員へ
審査員補の期間は、必ずリーダーと一緒に行動します。
一挙手一投足を管理される、ちょっと窮屈な立場です。
でも、それを経て初めて「審査員」として独り立ちできるんですよね。
審査員補と審査員では、本当に一気にやることが変わります。
頭ではわかっていても、実際に体験するとそのギャップに驚かされます。
初回会議を自分で進める責任
ある程度以上の組織での審査になると、審査開始時の場所がリーダーと別々になることがあります。
つまり、全員が一堂に会しての初回会議ではなく、それぞれの現場で審査員が初回会議を進めることになるんです。
「初回会議はリーダーがやるもの」と思っていると大間違い。
審査員自身が取り仕切る必要があります。
準備段階からチェックリストを用意しておくことも大切。
でも、ただ棒読みすればいいわけではありません。
今回の審査先は、20年以上認証を継続してくださっている組織。
儀礼的な初回会議はできるだけさらっと済ませたいところです。
杓子定規にやってしまうと「この審査員は…」と思われてしまうリスクもあります。
臨機応変に、でも基本は外さない。
そのバランスは場数を踏まないとわからない世界です。
今回の審査では、初日にAの場所での審査、そして新幹線で移動してBの場所での審査。
1日に2回、自分で初回会議を切り盛りする経験をしました。
「審査員補ではなくなる=こういうことなのだな」と痛感した一日でした。
問題と課題の違い
さて、本題です。
最終会議終了後、管理責任者が漏らした言葉。
「いつまで経っても改善指摘は出続けるものですね」
理由は、不適合指摘はなくても改善提案(観察事項)が複数残ったからです。
毎年改善提案はありましたが、今回はその数が倍増しました。
拒否感が強く改善提案を残すことに苦労する組織もあります。
でも今回の組織は抵抗なく受け入れてくださいました。
とはいえ「このあと組織内部をどう動かすか」という点で、愚痴のような発言につながったのかもしれません。
私は補足しました。
「問題はないかもしれませんが、課題は色々あります。その課題が改善提案につながっているんです」
この言葉に「なるほどそうですね」と納得していただけました。
改善提案の裏側
もう少し踏み込んでみます。
実際の審査現場では、改善提案の中に「不適合指摘でもよいのでは?」というものが含まれることがあります。
不適合指摘をしてしまうと、その後の是正対応も含めて組織への負担がぐっと高まります。
だから審査員もそうそうその刀を抜くことは控えるのが実態です。
現場の運用管理では、頻繁に起きている事象でしょう。
今回も1件は明快に適合である中での改善提案でしたが、その他については判断の難しいものばかりでした。
ここから何を汲み取るか。
それは組織ごとに考えていただきたいと思います。
🌱『今回のひとこと』
■課題は山ほどある。改善提案を組織力アップに活かそう!
なお、原文はホームページに掲載しております。
