こんにちは。
今回新たなテーマでブログ掲載を始めます。
研修講師日記を不定期掲載していますが、今度はISOの審査員活動に関する日記です。
よりニッチな話にはなりますが、これからセカンドキャリアでISO審査員を検討される方には、現場情報としてご参考にしていただけるのではないかと思います。
ISO審査員活動再開
2024年、ほぼ20年ぶりに審査員としての活動を再開しました。
20年の歳月の中で、規格は大幅に改訂され、審査の手法も「逐条型審査」から「プロセスアプローチ型審査」へと移行したと言われています。そのため、今回の再開は、ほとんど一からやり直すような形となりました。
加えて、今回お世話になる審査機関も以前とは異なるため、当然ながら審査の進め方も様々な面で違いがあります。
審査員初期研修
今回の審査機関では、初期訓練として丸3日間の研修が設けられています。
私が参加したのは、ISO9001の審査員になるための初期訓練であり、すでにISO14001の環境審査員として活動している方であっても、必ず受講しなければならない研修です。
3日間という日程が長いかどうかは一概には言えません(5日間の初期訓練を実施している審査機関もあると聞いています)。
しかし、実際に受講してみると「最低でも3日は必要だ」と感じました。
とはいえ、他の審査機関と比べると、この3日間の初期研修は比較的長い部類に入るようです。
ISO審査員を目指す方であればご存じかと思いますが、審査員になるには、5日間(計40時間)の研修コースを受講し、2時間に及ぶペーパーテストに合格する必要があります。
毎晩の復習が欠かせない研修であり、5日目の終了時点では誰もが疲労困憊となるほどの内容です。
それを修了しているにもかかわらず、さらに3日間の初期研修があることに驚かれる方もいるかもしれません。
しかしながら、私の意見としては、この審査機関による初期研修は「必須」であると考えています。初めてその話を聞いたときは、「そこまでの日数が必要なのか」と思いました。
実は20年前、初めて審査業界に足を踏み入れた際の初期研修は1日弱で、内容も簡単な確認程度。その後はOJTで対応するというスタイルでした。
今回の3日間のOff-JTとの違いは、まさに歴然です。
プロ審査員とは(仮免許ではない)
審査員補とはいえ、審査の世界ではすでにプロの入口に立っている存在です。
初回のみオブザーバーとして参画し、実際の審査の様子を理解する機会が与えられますが、「見る」と「聞く」は大きく異なります。
審査を受ける側の経験がある方でも、審査する側に立つと状況はまったく違って見えるものです。初回のオブザーバー参加では、現場に足を踏み入れるものの、一切の発言は許されません。リーダー審査員に質問したくても、お客様の前ではそれも叶いません。
オブザーブ対応が終わると、次回の審査からは発言が許され、審査に参画することができます。
とはいえ、その場面は自動車免許取得時に仮免許を得て一般道を走るようになる段階とは少し異なります。
自動車免許の場合、教習所内で基礎技術を習得し、教官が横に乗ってマンツーマンで指導してくれます。周囲に車や歩行者がいなければ、自分の意志で運転できる一人称の活動です。
しかし、ISO審査は常に相手が存在します。
つまり、すべてが相手との関係性の中で行われるビジネス活動であり、一人称の活動ではありません。
主任審査員が横にいるとはいえ、自分の言動が相手に与える影響は決して小さくありません。審査員として活動するには、すでに審査を行う実力が備わっていることが前提なのです。
お客様はプロの審査員に対する報酬をすでに審査機関に支払っています。
審査員補が対応するからといって、審査費用が半額になることはありません。
審査員補だからうまくできなくても許される、ということには基本的にならないのです。
これは研修講師も同様です。
初めての登壇であっても、受講料はベテラン講師と変わりません。
お客様からすれば、講師が初心者かどうかはわからないからです。
「今回は初心者講師なので受講料を割引します」という研修機関には、私も出会ったことがありません。
審査員の場合は、「審査員補が参画しますが、ご了承いただけますか」というプロセスがあるだけ、まだ良心的かもしれません。
審査員に必要なマインドと準備
長くなりましたが、審査員補であっても、ベテラン審査員との差を感じさせない審査を行うためには、どれほどの準備が必要か。
だからこそ、しっかりとした体制を整えている審査機関は、これから審査の世界に入る人に対して、可能な限りの内容を初期研修で提供しようとするのです。
繰り返しになりますが、3日間では少々短いのではないか、というのが私の実感です。
その意識を持って、これから審査の現場で起きていることを「審査員日記」としてお伝えしていきたいと思います。
審査への参画ができた都度、この日記を綴っていく予定です。研修講師に比べて更新頻度は高くありませんが、皆様の活動の一助となれば幸いです。
原文は弊社サイトに掲載中です。