こんにちは。
久々のISO研修講師日記です。
本文全体はホームページの方に掲載しますので、ここには要約版を載せています。
内容をお読みいただき、もう少し詳細知りたい、と思ってくださったらサイトのリンクを張っておきますので、のぞきに来てください。
ISO9001企業にとっての品質マニュアル再考
〜マニュアル改訂がもたらす運用への影響〜
はじめに:品質マニュアルの重要性
ISO9001に取り組む企業にとって、品質マニュアルは単なる文書ではなく、運用管理の要とも言える存在です。今回は、附属書SLの登場以降にマニュアルを改訂した企業の事例をもとに、品質マニュアルの価値とその見直しの必要性について考察します。
附属書SLによる変化とその影響
附属書SLの導入により、各規格の整合性が高まり、ユーザーの利便性も向上しました。しかし、それに伴いマニュアルの運用方法を変更した企業の中には、「本当に改善につながっているのか?」と疑問を抱くケースも出てきています。
研修で見えたマニュアル改訂の実態
ある企業での研修にて、品質マニュアルが環境マニュアルと統合され、大幅に改訂されていることに気づきました。以前は、事務局が自社の言葉で規格要求事項を噛み砕き、実務に即した内容に仕上げていました。業務で使われる言葉が随所に登場し、実用性の高いマニュアルでした。
しかし改訂後は、規格要求事項の“オウム返し”のような内容となり、企業独自の工夫や特色が失われてしまったのです。
審査では問題なし?それでも残る疑問
研修中、事務局の方に「第三者審査で指摘はなかったか?」と尋ねたところ、「特にコメントはなかった」との返答。これは驚きでした。
確かに、ISO9001ではマニュアル作成は必須ではありません。作成していなくても認証取得に問題はありません。しかし、マニュアル改訂の効果やPDCAサイクルの運用状況は、審査員が確認すべき重要な視点です。
マニュアルの存在価値とは
マニュアルは以下のような役割を果たします:
- ✅ 業務推進上の指針となる
- ✅ 教育訓練のベースとなる
- ✅ 文書体系の基盤として機能する
マニュアルがなければ運用は可能ですが、実効性を高めるにはやはり必要な文書です。規格要求事項をただ並べただけのマニュアルでは、組織の運用を支える力にはなりません。
まとめ:マニュアルに運用の思いを込める
品質マニュアルは、組織の運用管理の設計図です。単なる規格の写しではなく、自社の業務に根ざした内容であるべきです。改訂の際には、実務との接続性や教育的価値を意識し、マネジメントシステムの実効性を高める文書として再構築することが求められます。
本日のひとこと
ISOマニュアルには、運用管理の“思い”を込めよう!