こんにちは。

 

前回、前々回と「認証の価値とは何か」という大変大きなテーマについて、一般論、そして審査をする側の視点、というところから論じました。

 

最後に、審査を受ける側は、という部分に少しだけ触れておきたいと思います。

 

 

 

突然ですが、

 

 

ROIという経済用語はお聞きになったことがおありでしょうか。

 

Return on Investmentという用語の略語です。

 

 

 

ISOの認証取得そして維持にかかる費用はそこそこの金額になります。

大企業であれば大した事ない金額という味方はできますが、中小企業にとっては経営者にとっては決して無視できない金額のはずです。

 

ではそのお金は、その組織にとっては

 

Investment なのでしょうか、それとも

costなのでしょうか。

 

 

 

先ほどサプライチェーンの話を出しました。

サプライチェーンの中での要請に基づく認証取得企業にとっては、costという感覚が強くなるのは致し方ない部分があります。

 

ですが、です。

 

特に中小企業にとっては、先ほども述べたように認証にかかるお金がそれなりの負担額になります。

それをコストと考えるか投資と考えるか。

 

これはかなり大きな分かれ道になります。

 

 

 

ここはもう少しご説明しましょう。

 

これはあくまで私自身の経験に基づく主観かもしれませんが、

 

コストと考えれば、それで納得性、合理性があれば、お金を出費してはい、おしまい。

という経営者感覚です。

 

一方、投資となれば、そこから得られるリターンの状況はどの様になっている、と場合によってはかなりの長期にわたって経営者は興味関心を持ち続けることになります。

 

極端に言えば、コストとなれば最終結果がどうなるかにしか意識が向きません。

一方で、投資となれば、回収状況の途中経過から様々なところに意識が向きます。

 

両者の違い、そしてそれがもたらす結果の違い、これで想像がつく部分が膨らみませんか。

 

 

審査をする側も受ける側もこのような意識を持って審査いえ、その前段階の日々の活動に取り組んでいけばどのような結果が得られるか。

 

ROIという意識が持てるかどうかの差はずいぶん大きなものになりそうだ、ということを感じていただけるのではないかと思います。

 

 

経営者がこの部分をどう捉えるかによって、組織の認証維持における方向性はかなりの部分決まってしまいます。

 

そのための経営者教育、ということを考えないといけないわけです。

もちろん経営者に教育なんてできるの?

という疑問もわかります。

 

基本経営者は教育されたい、とは誰も思っていません。

 

ですが経営者ほど貪欲な人もいないと言ってよいでしょう。自社の利益、自社の成長発展につながるとわかれば、基本誰もがそれには手を伸ばします。

そこを理解したうえで、経営者マインドを刺激することが必要なのです。

 

刺激を与えて、それを感じ取ってくれさえすれば、あとは経営者ですから自分からどんどん動いてくれます。

 

その刺激は、ポジティブサイドから与えるものであってもネガティブサイドから与えるものであってもどちらもありです。もちろんポジティブサイドから行けるに越したことはありませんが。

 

 

 

私の経験上だけに限れば、そこまでを踏まえて審査をしてくれる審査員には組織経営者の立場の間では、残念ながらありませんでした。

すべての審査員が経営者経験を持っているわけではありませんから、やはりそこまでは無理なのかな、という思いはどうしても持たざるを得ませんでした。

 

この部分をどうしていくか。

今後の私自身の課題の一つでもあります。

 

 

 

ここまで3回にわたり、「認証の価値とは」という点についての私見を述べさせていただきました。

 

ISOの認証の価値は、もちろんあります。

ですが、何から何までその効力が及ぶ、というスーパーパワーを持ち合わせているわけではないことをご理解いただけるのではないかと思います。

 

 

少しでもそれが関係者の皆にとってポジティブサイドに働きかけることに繋がるように、この先も感じたことをたまには綴っていきたいと思います。

 

たまにはこのブログ見に来ていただければ嬉しい限りです。

 

全3回、お付き合いいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

イラスト引用元

Image by <a href="https://www.freepik.com/free-vector/iso-certification-illustration-with-people-notepad_10329152.htm">Freepik</a>