こんにちは。

 

早速ですが、

ISO審査の現場にいよいよ足を踏み入れ始めました。

 

多くの方は私の立場であれば何から何まで知っているのでは、美しき誤解をされているのではないかと思いますので、改めてその説明から今日は始めさせていただきます。

 

24年間、そして最後の10年間は社長の立場で切り盛りしてきた組織はISOの研修機関です。ISOのマーケットでは審査を行う認証機関と、研修を行う研修機関はだいぶ事業内容が異なります。現実的には多くの認証機関が研修事業も手掛けるようになったため、その境界は曖昧になりましたが、少なくとも私が所属していた組織は、独立系の研修機関のため、懇意にしている認証機関は何社もありましたが、提携をしているわけではありませんでしたので、私自身が審査の現場に出るチャンスは基本的にはありませんでした。

 

特にISO 9001の日本代表エキスパートを抱える研修機関と言う立ち位置でしたので、余計に認証機関の方々とは一線を画した事業展開をしていました。

 

 

そしてそこを離れた今、ようやくフリーな立場で審査現場に出ることができるようになったというわけです。

 

 

 

 

審査現場自体は20年くらい前に少しだけは経験していますので、それなりの想定はつきますが、そうは言ってもそれからだいぶ月日が経ったことで、審査する側もされる側も当然変化している部分があります。

 

また、審査をする認証機関も今まで多少はお話してきたようにそれぞれの個性があります。

 

新たに審査業務をさせていただくために契約をしていただいた認証機関は、業界内では一生懸命取り組んでいる機関の一つとと言われるところ。

 

よい審査とはなにか。

そしてその審査をするために審査員に求められる力量とは何か。

 

ということを肌身を持って感じるにはとても良い機関と思って門を叩いています。

 

 

 

この現場での話はおいおいさせていただこうと思いますが、まずは日本全国、いえ世界各国を襲っていると言ってもよい、認証を継続する価値はあるのか?という大なり小なり組織の方々が抱えている問題に足を踏み入れたいとおもいます。

 

 

現在日本における認証取得数は、規格/分野によって違いはありますが、最も認証取得数の多い品質(ISO 9001)そして次の環境(ISO 14001)は、残念ながら認証数の低落傾向への歯止めはかかったとはいい難い状況にあります。

 

 

 

ISO 9001規格が生まれて既に三十数年。必要とすべき組織には基本的には浸透してしまったことで、新たな認証取得は伸びている中小企業では起きても、大企業でこれから認証取得を目指す、ということは基本的にはなくなっています。

 

 

そして大手企業でISOの黎明期から取り組んでこられた企業では既に認証を取得して20年、いえ30年という企業も出てきています。

 

だいぶ以前に企業の寿命30年説、という話が世の中を賑わしました。30年という時間の経過により、世の中はかなりの技術革新が進み、栄枯盛衰も当然ある中で、30年程度経つと段々と輝きをなくしてしまう企業は決して少なくないわけです。

 

そう考えたときにISOも誕生から30年経てば、ある意味その使命を終えたと言ってもあながち間違いではないかもしれません。

とはいえ、その業界で生きている人、食べている人に取っては自分が頑張ってきた業界がなくなるなんて考えたくもないことです。

 

 

そのような中で、ISOの認証を本当に維持すべきなの?

 

という疑問、議論はあちこちで起きていると聞き及びます。

 

 

 

当然それは、新たに取ろう、という前向きなものではなく、もう価値を感じなくなったから認証を返上する(審査を受けるのを止める)スタンスでよいのでは?という議論です。

 

 

 

ISOの国際会議の場でもそのことは各国から情報が寄せられ、議論検討の対象になりました。

だからこそ、ISO 9001の冒頭、序文の0.1には以下のような文言が記載されたのです。

 

 

「品質マネジメントシステムの採用は,パフォーマンス全体を改善し,持続可能な発展への取組みのため の安定した基盤を提供するのに役立ち得る,組織の戦略上の決定である」

 

 

 

 

いきなりこの文章から序文が始まるので面食らう方が多いのではないかと思います。

しかし組織が経営判断、戦略的な動きをしていく中で、ISOの活用についてはもう少し議論検討していけば、いえ、いかないと、ISO認証対応にかける時間とお金が無駄遣いになってしまう、という問題意識、危機意識をISO国際会議に集まった各国の代表エキスパートが共有し、議論検討した結果の上記の文言です。

 

 

ISO規格における要求事項は、あくまで枠組みの提示です。

それを踏まえて具体的にどのような経営、そして運用管理を行っていくかはすべて組織側の自由であり選択です。

まずその部分は再確認をしておいてください。

 

 

 

そのうえで、審査を受け続けることの価値がどれほどのあるのか。

 

 

これは審査を受ける側だけの問題では全くありません。

当然審査する側の提供する物によってもその価値の大小は変わります。

 

 

一言で言えば、両者の協力関係が出来上がっていなければ認証維持の価値の極大化はありえません。

 

どちらも努力が必要なのですが、この後はまず、審査側に求めるものについて考察してみましょう。

 

 

次回に続けます。

 

 

 

 

 

イラスト引用元

Image by <a href="https://www.freepik.com/free-vector/iso-certification-illustration-with-people-notepad_10329152.htm">Freepik</a>