すっかり更新が滞ってしまいました。
誠に申し訳ありません。
過去3回にわたってISOの審査を行う認証機関(審査機関)の選び方についてのご説明をしてきました。
審査機関による料金の違いについて、少し踏み込んで前回はお伝えしました。
今回はこの項の最後として、審査機関としての経営方針について触れたいと思います。
ここはAI先生では現状まったく情報得られませんので、私の経験からのご説明をさせていただきます。
前回、審査料金が、1日あたり10万円未満のところから、20万円を超えるところまである、というお話をしました。
本題に入る前に補足になりますが、多くの審査機関で手掛けるISO9001やISO14001の審査であれば、そのような値段差がある、ということになります。
自動車分野や航空宇宙分野など、認証を受ける組織も少ない業界(セクター)であえば、対応できる審査機関、審査員も限定されます(誰でも審査ができる、というわけではないこともあり)。
そのようなニッチな分野であれば、価格レベルも異なってきますので、その点はご注意ください。
では本題に戻りましょう。
ここはある意味答えは簡単です。
ある程度以上の審査料金を求める審査機関は、基本的には審査員教育にも熱心で、しっかりとした経営者が経営を行っている、と言えます。
お客様組織、そして業界の将来のことをしっかり考えて、両者がWin-Winの関係をいかに構築し、維持していけるか。そういったことを常に考えて行動されていると言えます。
審査員の採用面接から審査員の継続教育まで経営者の目が行き届いていると感じられるわけです。
では安い審査機関ではそれらのことがまったく行われていない、といえば、それはNOです。
少なくとも認定機関からの認定を受けていれば、それらの仕組み(特に審査員の継続教育)が全くなければ、認定取得ができません。
ゆえにあるかないかではなく、程度問題の差、ということで理解をお願いします。
なんだ、そうであれば、料金の違いほど、審査の質の違いもないのではないか、という思いを持たれる方もいらっしゃるでしょう。
正直にお答えします。
その疑問を全面的に否定することはできません。
私も比較的料金の高い一生懸命に将来のことを考えて取り組まれている審査機関の経営者の方々とはそれなりにお付き合いをさせていただきました。
しかし、安いと言われる認証機関の経営者との方々とのご縁はほとんどなかったこともあり、実態が掴みきれているわけではありません。
様々な情報を統合してここでお伝えしています。
そして、安い料金でサービス提供を行う審査機関の経営方針も短期の利益追求、ということであれば理解できないわけでもありません。
では結局何を言いたいの?
という疑問を持たれる方もいらっしゃることでしょう。
皆様にご認識いただきたいことは、この業界は今まさに、過渡期、変革期にある、ということなのです。
お客様のニーズをどこまで深掘りし、また需要喚起できるか。
提供できる価値をどこまで深掘りして、お客様に喜んでいただけるか。
サービス業であれば当たり前のことを今あらためて深く見つめ直していかなければならない状況にあるのです。
正しい認識を持ってこそ初めて正しい思考を始めることができます。
認証を受ける価値が本当にあるのか、という声もマーケットの中では出ています。
その視点もとても大事です。
何回も申し上げたと思いますが、ISOの審査を受けるにはそれなりのお金がかかります。
企業経営で考えれば、そのお金に対するリターンがどれほど得られているか、ということなのです。
私は常々意識していること、そしてある程度のご理解をいただいている方に申し上げていることは、
ROI
です。
すみません、少々かたっ苦しい言葉を持ってきましたが、日本語にすれば「投下資本利益率」という言葉になります。英語では“Return On Investment”。
つまり、ISOの認証を取得、そして維持するために使うお金がどれだけでの利益を生み出しているか、そしてその利益率は期待したレベルにあるのかどうか、ということです。
いや、そんな事考えたこともないし、そもそもISOの認証取得で得られた利益なんて算定できないよ、という声がすぐに上がると思います。
実際は、取引先からISOの認証を取得してくれないと、取引継続はできない、と言われて認証を取得した、という組織が非常に多い現実からすれば、事業継続上の必要コストであって、それは利益につながるものなんかではないよ、という意識の経営者の方がとても多いと思います。
やむを得ないことではあるのですが、ISOにかかるお金を「費用」と考えるのか「投資」と考えるのかによっても、随分ISOに向き合うスタンスは変わるはずです。
あなたにとってはどちらでしょうか。
お金と時間を投じなければISOの認証取得も維持もできません。
ぜひ、せっかくお金を投じるのですから、それは投資であり、どのようなリターンを得る必要があるのか、得られるのか、ということを考えてください。
その延長線上に、どの審査機関を選べばよいのか、という答えが出てくるはずです。
4回にわたり、ISO審査機関の選び方、ということでお伝えしてきました。
ブログ上で書けることはこのあたりが限界です。
更に踏み込んだ話が聞きたい、という方とは、個別にお伝えするレベルとなりますので、ご理解ください。
今回は少々短いですが、ここまでとさせていただきます。
お読みいただきありがとうございました。
【お知らせとご案内】
テクノファ代表を退任後、少しこの世界から足が遠のきました。
facebookでは既に次の事業展開を始める旨のご案内をさせていただきました。
このブログも、あと数回で一旦停止をさせて頂く予定です。
残りの数回で、最近の小著の売れ行きの状況から、ISOの審査員に興味をお持ちの方が思った以上に多いように感じているため、そのお話をさせて頂きます。下記の本(キンドル電子書籍です)を読んでいただく方が増えているのです。
誰も教えてくれない 引っ張りだこの審査員になるために身につけたい大事なこと | 青木恒享 | 個人の成功論 | Kindleストア | Amazon
(了)