内部監査についてだいぶ長いことご説明をしてきましたので、今日から少しテーマを変えていきたいと思います。
まず初めは、数多くある審査機関についてです。
すでに認証を取得されている組織の方は、お付き合いのある認証機関があるわけですが、もしISO 9001とISO 14001の認証取得をされているとすると、その認証は同じ機関から受けているか、別の機関から受けているかをまずはチェックしてみてください。
多くの場合は、同一の認証機関から認証を受けていると思いますが、まれなケースとして、認証取得の時期や経緯の違いから、それぞれの規格で審査を受けている機関が異なる、という場合があります。
あくまでその企業さんの経営戦略に基づくものなので、一概に外部の人間がそのことの良し悪しを論ずることはできないのですが、それでもやはり、なぜ異なる認証機関を使い続けているのだろう、と気になることはあります。
このあたりから説明を始めていきたいと思います。
では今日も早速AI先生にご登場いただきましょう。
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Q:わが社では、ISO9001とISO14001の認証を取得していますが、審査を受けている審査機関が異なります。
過去の経緯と取引先との関係等があってそのような経営判断をしたようなのですが、異なる審査機関から審査を受け続けるメリットとデメリットについてどのように考えればよいか教えてください。
A:異なる審査機関からISO9001とISO14001の認証を受けることには、メリットとデメリットが存在します。以下にそれぞれの側面について説明します。
【メリット】
審査の客観性と信頼性向上: 異なる審査機関からの審査を受けることで、審査の客観性と信頼性が向上します。異なる機関が独自の審査プロセスや視点を持って審査を行うため、より総合的な評価が得られる可能性があります。
多様な視点と経験の活用: 異なる審査機関はそれぞれ異なる視点や経験を持っています。複数の審査機関からの審査を受けることで、より多様な視点やベストプラクティスを取り入れることができます。
競争と価格の調整: 異なる審査機関による競争を通じて、審査費用やサービス料金の調整が可能になります。競争原理が働くことで、コスト効率の向上が期待できます。
【デメリット】
組織内の負荷増加: 異なる審査機関からの審査を受けるためには、それぞれの審査機関とのやり取りや審査準備が必要です。組織内の負荷が増加する可能性があります。
重複する作業や情報提供: 異なる審査機関に対して、重複する作業や情報提供が必要になることがあります。同様の情報を複数回提供する必要があるため、労力や時間の浪費につながる可能性があります。
統一性の欠如: 異なる審査機関からの審査結果や意見が異なる場合、統一性に欠ける可能性があります。審査機関間での要件の解釈の違いや審査基準の差異が生じる可能性があります。
異なる審査機関からの審査を受け続けるメリットとデメリットを考慮する際には、組織の具体的な状況や目標に基づいて判断することが重要です。審査機関の選択は、組織のニーズ、経営戦略、顧客要求、競争環境などを総合的に考慮して検討する必要があります。
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1回再作成の指示を出しましたが、この回答にはとても納得感があります。
異なる審査機関から審査を受ける、ということは正直デメリットしかない、という感触を持つ方が圧倒的だと思うのですが、コスト面(手間の面も含めて)で許容されるならば、審査機関が異なれば正直、対応、その内容はかなり異なると思う必要があります。その審査機関であってももちろん良いところはあると信じておりますので、複数の機関の良いところ取りをすることができれば、それはそのあとの運用に活かせる情報が色々と手に入るはずです。
さて一方で、個別運用をするよりも統合したマネジメントシステムを作り上げて、一気に審査を受ける、という流れが現在の主流です。
バラバラな仕組みを作って、それぞれに資金などのリソースを投入するデメリットに多くの方が意識を向けられた結果です。
そうであれば、多くの組織が今受けている統合審査を受けるべき、ということに話の流れとしてはなるのですが、その部分についてAI先生に聞いてみました。
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Q:回答ありがとうございます。メリットデメリットはよくわかりましたが、一方で、それぞれの規格の対応を個別に行うことでのデメリットもあるように思います。
仕組みを統合して、統合審査を受けたほうが良いかどうかの見解を聞かせてください。
A;ISO9001とISO14001のような異なる規格に対して統合審査を受けることには、以下のようなメリットとデメリットが存在します。
【メリット】
1.効率の向上: 統合審査を受けることで、ISO9001とISO14001の要件を一度に満たすことができます。統合された審査プロセスにより、重複する作業や文書作成の手間を削減することができ、組織の効率が向上します。
2.一貫性と統一性の確保: 統合審査により、ISO9001とISO14001の要件の解釈や審査基準の統一性が確保されます。同じ審査機関から一貫したアプローチで審査を受けることで、組織内の一貫性が高まり、品質と環境管理の統一された取り組みが可能となります。
3.統合された管理体系の構築: 統合審査を受けることで、組織内での品質と環境管理の統合された管理体系を構築することができます。組織全体の目標や方針の一貫性を確保し、より総合的な改善活動を推進することができます。
【デメリット】
1.複雑性と準備の負荷: 統合審査は複数の規格に対して審査を受けるため、準備と審査の複雑性が増す可能性があります。審査の範囲や要件の統合に伴う作業や文書作成の負荷が増加することがあります。
2.適合性の確保: 統合審査では、ISO9001とISO14001の要件を同時に満たす必要があります。異なる要件を同時に適合させることが課題となる場合もあります。要件の整理や適用方法の検討が必要となる場合があります。
3.審査機関の選定の制約: 統合審査を受ける場合、審査機関は統合審査を行うことができる能力を持つ必要があります。統合審査を受けるためには、審査機関の選定に制約が生じる場合があります。
統合審査を受けるかどうかの見解は、組織の状況や目標によって異なります。統合審査を受ける場合には、審査の複雑性や準備の負荷、要件の適合性などを慎重に検討し、組織の利益や戦略との整合性を考慮する必要があります。
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これはこれで良い回答が得られました。
しかし一つ失敗をしています。言語化しないものは意を汲む、というわけにはいきませんので回答には含まれません。
統合審査を受けるためには、統合マネジメントシステムをまず構築しなければなりません。それはそれで負荷がかかりますし、運用上のメリット、デメリットもやはり出てきます。
その部分が判断できてこそ、統合審査を受けることになるわけです。
今一度、統合したマネジメントシステムを構築するメリット、デメリットから確認していきましょう。AI先生に投げかけました。
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Q:ありがとうございます。しかしながら質問の仕方が今一歩でした。審査を受ける以前に統合の仕組みを社内で作らないといけませんが、そのことによって得られる便益が何かを明確にしないと経営陣を説得できません。
ISO9001とISO14001の運用をそれぞれ行っている現状と、統合したマネジメントシステムを作り上げることに関する、メリット、デメリットを教えてください。
A:ISO9001とISO14001の運用を個別に行っている現状と統合したマネジメントシステムの作成に関するメリットとデメリットを以下にまとめました。
【ISO9001とISO14001の個別運用のメリット】
1.規格ごとの専門性: ISO9001とISO14001を個別に運用することで、それぞれの規格に特化した知識やスキルを開発することができます。それぞれの要件やプロセスを詳細に理解し、専門的な改善活動を行うことが可能です。
2.フレキシビリティとカスタマイズ性: 個別に運用することで、各規格に基づいて特定の要求事項やプロセスをカスタマイズすることができます。組織の特性や業界の要件に合わせて、柔軟な対応が可能です。
3.運用の継続性と安定性: 個別のマネジメントシステムを運用することで、各規格に対する安定した運用状態を維持することができます。既存の運用プロセスや文書体系に基づいて、安定した品質と環境管理を維持することができます。
【統合マネジメントシステムの作成のメリット】
1.統合されたアプローチと効率の向上: 統合マネジメントシステムを作成することで、ISO9001とISO14001の要件を統合的に取り扱うことができます。重複するプロセスや文書を統合し、組織全体での効率を向上させることができます。
2.統一された方針と目標の策定: 統合マネジメントシステムにより、品質と環境管理の方針や目標を一元的に策定することができます。組織内の一貫性を高め、統合された改善活動を推進することができます。
3.リソースの最適化とコスト削減: 統合マネジメントシステムにより、リソースの最適化やコスト削減が期待できます。重複する作業や文書作成の削減、統合的な監査やトレーニングの効率化などにより、組織のリソースの有効活用が可能となります。
【統合マネジメントシステムの作成のデメリット】
1.専門性の欠落: 統合マネジメントシステムでは、ISO9001とISO14001の要件を同時にカバーするため、各規格の専門性が欠落する可能性があります。特定の規格に関する専門知識やスキルを活用できなくなることに注意が必要です。
2.複雑性と準備の負荷: 統合マネジメントシステムの作成は、個別の運用に比べて複雑さと準備の負荷が高くなる場合があります。異なる要件やプロセスを統合し、適切な文書体系やプロセスを構築するために、時間とリソースの投入が必要です。
3.審査の複雑性とリスク: 統合マネジメントシステムの審査は、異なる規格の要件を同時に満たす必要があります。審査の範囲や要件の統合に伴う複雑さやリスクが生じる可能性があります。審査においては、適合性の確保と審査機関とのコミュニケーションが重要となります。
組織が統合マネジメントシステムの作成を検討する際には、上記のメリットとデメリットを総合的に考慮し、組織の戦略や目標に合致する最適な選択を行うことが重要です。
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ここはだいぶ再作成の指示を出しようやくこの回答が出てきました。
そうなのです、個別運用のメリットは意識しておきたい部分なのです。
縦割り行政ではありませんが、組織内が縦割りでたこつぼ状態になるリスクは抱えますが、品質(QMS)にしても環境(EMS)にしてもその他の分野にしても、極めるにはそれ相応の時間と苦労が必要です。その道の社内での専門家ということですね。
そのような人材が育つ、というメリットがあるわけですが、統合したマネジメントシステムとなった際にそれが同じようにできるかはなかなか簡単に結論が出るものではありません。どうしても人は自分の専門分野に引きずられます。
その部分を踏まえた経営管理がやはり大事なのです。
経営者のマネジメントシステムへの理解も重要なポイントです。
その中で、何に優先的にリソースを配分するか。自社を取り巻く経営環境次第、という点と経営者の問題意識、課題意識ということことによって、それらの判断がくだることでしょう。
このような一般的、客観的意見を踏まえたうえで、自社の現状から考えると最適解を皆で見つけていく。
その結果として、統合システムを作っていくのか、ISO審査機関は今のままでよいのか、あるいは変更すべきか。
という点も答えが見えてくることでしょう。
何が正解かは、今日の問題に関しては組織の現状次第、ということでした。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
次回は、もう少し手前のレベルの日本で活動する審査機関はいったいどれほどあるの?という問題に改めて触れたいと思います。
(了)