ISO内部監査員を養成する上での実践教育をどのようにしていけばよいか。

今日はその3回目です。

 

前回までで、日数やカリキュラムを考える上でのベースとなる部分の説明を行いましたので、今日は実際のカリキュラムについてはどのように設定すればよいか、という内容に入っていきましょう。

 

 

早速AI先生への質問です。

 

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Q:ISOの内部監査員教育を行う上での必要な時間数、日数、標準的なカリキュラムを教えてください。

 

A:ISOの内部監査員教育に必要な時間数や日数は、企業の要件や教育プロバイダーのカリキュラムによって異なります。以下に一般的な内部監査員教育の時間数やカリキュラムの例を示します。

 

1.内部監査員基礎講座

内部監査員基礎講座は、内部監査員の初心者向けの講座であり、ISO規格の概要、監査の基本的なプロセス、監査報告書の作成などについて学びます。一般的には2〜3日の講座で、1日あたり6〜8時間程度の時間が必要です。

 

2.内部監査員実務講座

内部監査員実務講座は、内部監査の実務に関する講座であり、ISO規格の要件、監査計画の策定、監査実施、報告書の作成、監査後のフォローアップなどについて学びます。一般的には3〜5日の講座で、1日あたり6〜8時間程度の時間が必要です。

 

3.内部監査員リフレッシャーコース

内部監査員リフレッシャーコースは、内部監査員のスキルアップを目的とした講座であり、内部監査の基礎知識や実務の最新の情報、改訂されたISO規格の要件などについて学びます。一般的には1〜2日の講座で、1日あたり6〜8時間程度の時間が必要です。

 

上記の時間数やカリキュラムはあくまで一例であり、企業の要件や教育プロバイダーのカリキュラムによって異なります。また、内部監査員教育は、継続的に実施することが重要であり、内部監査員のスキルアップに応じて、適宜カリキュラムを見直す必要があります。

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さあ、いかがお感じになりますでしょうか。

日本語レベルとしてはいつも通り申し分ないと感じます。

 

しかし・・・です。

 

悪くはありませんが、残念ながら、現実的とは思えない回答と感じました。

 

 

多くの企業の方の実態を考えると、内部監査員教育の実践レベルは、社内的な資格取得のための基礎(導入)教育と、資格取得後のフォローアップ(スキルアップ)教育に分かれます。

AI先生の回答にあるような、3段階の教育体系が組めればもちろんベターですが、そこまでの余裕は今の日本の民間企業にはあるとは思えません。

 

そして、その必要性が大であれば、苦しい環境下でもその教育への取り組みは必要不可欠ですが、ISOマネジメントシステムへの各社の取り組みの狙い、達成目標からすれば、他業務とのバランスを考えれば、基礎教育しかしていない、という組織は正直不足ですが、フォローアップ教育を行っている組織であれば、一応OKというレベルにあろうかと思います。

 

 

そしてかける日数もAI先生の回答では非現実的です。

あくまでoff-JTとして教育訓練を行うことが一般的ですので、3日間も教育訓練のために現場を離れるとなると、残っているメンバーへの負担が大きすぎる、という状況になる見込みが高くなってきます。

 

本来は、3日間程度の時間をとっても問題ない、という体制整備が必要と外部からすれば感じるのですが、現実問題としては、なかなかそう簡単には判断できるものではないでしょう。

 

 

 

さて、抽象的なことを言っていても、本題への理解が深まりませんので、AI先生にもう一段深掘りのつもりで、具体的な絞り込みを行った質問をしてみましょう。

 

 

 

 

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Q:ISO9001内部監査員教育を行う上で、どのようなカリキュラムを作成するのがよいでしょうか。

 

A:ISO 9001内部監査員教育のカリキュラムを作成する場合、以下のような項目をカバーすることが重要です。

 

1.ISO 9001の基本事項

・    ISO 9001の目的と概要

・    ISO 9001における品質マネジメントシステムの構成要素

・    ISO 9001の品質方針、品質目標、品質目的

 

2.ISO 9001内部監査の基礎知識

・    内部監査の意義、目的、目標

・    内部監査の手順と方法論

・    内部監査計画の立案、実施、報告

 

3.ISO 9001内部監査の実務

・    監査プロセスの実施

・    監査の準備と実施、報告

・    監査に関するドキュメンテーションの作成と管理

 

4.ISO 9001内部監査員としてのスキル

・    コミュニケーションスキル

・    聴取スキル、問題解決スキル

・    調査、分析、報告スキル

 

5.内部監査の改善と継続的改善

・    内部監査報告書の作成と評価

・    内部監査の改善提案、改善措置の策定、適用の確認

 

以上のような内容をカバーすることで、ISO 9001内部監査員として必要な知識やスキルを網羅することができます。また、カリキュラムの構成にあたっては、受講者の職種や業務内容、経験や能力、目的に合わせてカスタマイズすることも重要です。

 

 

Q:以上の内容の社内研修を実施するとしたら、何時間、何日間のコースとして設計するとよいでしょうか。

 

A:ISO 9001内部監査員教育の社内研修のコース設計については、以下のような考え方がありますが、実際には組織のニーズや受講者のスキルレベルに合わせてカスタマイズする必要があります。

 

一般的に、ISO 9001内部監査員教育の社内研修は2日間から4日間程度の期間で実施されます。具体的なコース設計例を示します。

 

(1)  2日間コース

 

Day1: ISO 9001の基本事項、内部監査の基礎知識、ISO 9001内部監査の実務

Day2: ISO 9001内部監査員としてのスキル、内部監査の改善と継続的改善

 

(2)  3日間コース

 

Day1: ISO 9001の基本事項、内部監査の基礎知識、ISO 9001内部監査の実務

Day2: ISO 9001内部監査員としてのスキル、内部監査の改善と継続的改善

Day3: 内部監査のケーススタディ、演習、ディスカッション

 

(3)  4日間コース

 

Day1: ISO 9001の基本事項、内部監査の基礎知識、ISO 9001内部監査の実務

Day2: ISO 9001内部監査員としてのスキル、内部監査の改善と継続的改善

Day3: 内部監査のケーススタディ、演習、ディスカッション

Day4: 内部監査報告書の作成、監査結果の評価と改善提案の策定、適用の確認

上記の設計はあくまで一例ですので、組織のニーズや受講者のスキルレベルに合わせてカスタマイズする必要があります。また、社内研修においては、定期的なフォローアップ研修の実施や、内部監査実施のサポートなども重要です。

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さあ今度はいかが感じられますか。

質問の仕方を変えることによって、引き出すことができる回答の幅、レベルがずいぶん変わります。要は、AI先生は使い方次第、ということになるわけですが、

 

この回答レベル、深いレベルの意図のところまでは汲みとれませんが、入り口段階の企画書としてみれば、十分な出来です。

このレベルのものがサッとかけるようであれば、完全に上級者レベルです。

 

とは言え、どこが物足りないか、と言えば、決裁権限者の立場で見れば、具体的なもののイメージがこれでは湧かない、という部分になります。

 

そこでもう一段深掘りの質問が必要だったということがわかるわけです。

では次の質問と回答を、少々長くなるとともに、1回目の回答でアレっと思う部分の突っ込みを入れた質問までつなげていますので、予めご承知おきいただき、ご確認ください。

 

 

 

 

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Q:ISO9001の内部監査員養成のための社内研修を実施するとしたら、何時間、何日間のコースとして設計するとよいか、という点について、

 

2日間コース

 

Day1: ISO 9001の基本事項、内部監査の基礎知識、ISO 9001内部監査の実務

Day2: ISO 9001内部監査員としてのスキル、内部監査の改善と継続的改善

 

という回答をいただきました。

これをもっと具体的に時間割として作成してもらえると大変ありがたいのですが、可能でしょうか。

 

A:もちろんです。ISO 9001の内部監査員養成のための2日間の社内研修の具体的な時間割を以下に示します:

 

Day1:

9:00 - 9:30: 受講者の登録と開会の挨拶

9:30 - 10:30: ISO 9001の概要と基本事項の説明

10:30 - 10:45: 休憩

10:45 - 12:30: 内部監査の基礎知識(内部監査の目的、原則、手法など)

12:30 - 13:30: 昼食休憩

13:30 - 15:00: ISO 9001内部監査の実務(監査計画の立案、チェックリストの作成)

15:00 - 15:15: 休憩

15:15 - 17:30: ISO 9001内部監査の実務の続き(監査実施、報告書作成)

 

Day2:

9:00 - 9:30: 前日の振り返りと質疑応答

9:30 - 11:00: ISO 9001内部監査員としてのスキル(コミュニケーション、質問技巧など)

11:00 - 11:15: 休憩

11:15 - 12:30: 内部監査の改善と継続的改善(監査結果の評価、不適合の処理、改善提案など)

12:30 - 13:30: 昼食休憩

13:30 - 15:00: グループ演習(模擬監査の実施)

15:00 - 15:15: 休憩

15:15 - 16:30: 模擬監査の振り返りとフィードバック

16:30 - 17:00: 修了証書の授与、研修終了の挨拶

 

このような時間割で2日間の社内研修を実施することができます。時間割は研修の内容や参加者のレベルによって微調整することも可能ですので、状況に合わせてカスタマイズしていただくこともおすすめします。

 

 

Q:なるほど、ありがとうございます。

全体の流れはとても良くわかりましたが、ISO9001規格の解説の時間がとても短く感じられますが、何か意図はありますか。

 

A:ISO 9001規格の解説が短く感じられる理由は、ISO 9001の基本事項や要件に関して、参加者がある程度の事前知識を持っていることを前提としているからです。

 

ISO 9001は広く知られている品質管理システムの国際規格であり、多くの組織が既にその要件や概念について一定程度の理解を持っていることが一般的です。したがって、この研修は内部監査の実務やスキルに焦点を当て、より具体的な内部監査の手法や改善活動に関する内容に重点を置いています。

 

もちろん、参加者がISO 9001についての知識が不十分な場合は、研修の内容を調整し、より詳細な解説や基礎知識の提供に充てることもできます。それには、参加者の事前アンケートやニーズの調査を行うことが重要です。参加者のバックグラウンドや知識レベルに基づいて、より適切な内容を提供することができます。

 

したがって、研修の内容や時間割は柔軟に調整されるべきであり、参加者の要求やニーズに合わせて最適化されることが重要です。

 

 

Q:わかりました。ではISO9001に関する事前知識がない受講者を集めた社内研修の場合、2日間のカリキュラムはどのように変更すると良いのでしょうか。

 

A:ISO9001に関する事前知識がない受講者を対象とした場合、2日間のカリキュラムは以下のように変更することができます。

 

Day1:

 

1.ISO 9001の基本事項と概要 (1時間)

・    ISO 9001の背景と目的

・    品質管理システムの基本原則

 

2.ISO 9001の要件解説 (3時間)

・    組織のコンテキストとリスクベースの思考

・    組織の目的と品質方針

・    組織の責任と権限

・    リソース管理

・    プロセス管理

・    改善と継続的改善

 

3.内部監査の基礎知識 (2時間)

・    内部監査の目的と重要性

・    内部監査の原則と手法

・    監査プロセスの概要

 

Day2:

4. ISO 9001内部監査の実務 (3時間)

・    監査計画の作成

・    監査実施と情報収集

・    監査結果の評価と報告

 

5.ISO 9001内部監査員としてのスキル (2時間)

・    コミュニケーションスキル

・    質問技術と聴取スキル

・    フィードバックの提供

 

6.内部監査の改善と継続的改善 (2時間)

・    監査結果の分析と改善の特定

・    監査報告書の作成と追跡

・    継続的改善のサポート

 

このようなカリキュラムでは、参加者にISO 9001の基本事項や要件についての基礎的な知識を提供し、内部監査の実務やスキルに関しても詳しく解説します。事前知識がない受講者に対しては、より時間を割いて規格の解説を行い、参加者が理解を深めるように配慮します。

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ずいぶん変化、そして進化した回答が出てきました。

正直に申し上げます。

 

ここまで来てしまうと、プロの研修機関も実は少々青ざめます。

もちろん、各社の研修コースの案内で、時間割(カリキュラム)の大枠は示したコース紹介ページを作成していますので、それらの情報をあつめてAIでの処理を行えば、このような回答が出てくることは容易に想像が付きます。

 

しかしながら、今までは各社のサイトからそのような基礎情報は得られたとしても、それを具体的に自社で展開にするには、さすが応用力が必要でした。

 

それがAI先生を活用すると一気にその壁を突破できる、ということが今回明確になっているわけです。

 

上記の回答であれば、決裁権限者が具体的にイメージできない、と感じた部分にも踏み込んだ回答が出てきています。

 

標準カリキュラムとしては十分すぎる内容です。

 

 

あとは、前提条件をどのように考えるか。

上記のAI先生の最初の回答は、ISO9001に関する基礎知識を保有していることを前提にした回答でした。

 

しかし世の中の実態としては、基礎知識を保有していない人を何とか2日間(場合によっては1日レベル)で内部監査員としてデビューできるように養成したい、というのが多くの企業の要望でもあります。

 

正直、規格に関する知識がゼロの方を1日でISO内部監査員して養成していくのには無理があります。その無理を承知で進める、という経営判断をされたのであれば、あとは研修機関側としては口をはさむものではなくなります。

 

そこは企業戦略の部分となるからです。

 

そこに意識を置いたうえで、上記のAI先生の回答を咀嚼していくことをお勧めします。

 

それではだいぶ今日は長くなりました。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

 

(了)