前回まで、ISO内部監査員の養成をどのように行うのがよいか。準備段階における考え方(流れ/プロセス)について、12項目に分けてお伝えしました。
最後の最後の総まとめとしてAI先生には素晴らしい回答をいただきましたので、この先はAI先生に負けないようにしっかりご説明していきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
さて、今回からは、内部監査員教育の実践手法についての説明を始めていきます。
内部監査員教育を始めて行う場合、以下のどちらの選択肢をとるかをまずはお考えになると思います。
●自社内研修
●外部研修機関の活用
どちらであってももちろんOKなのですが、当然、一長一短があります。
まずは基本的なスタンスを確立することからになるわけですが、今日も早速AI先生にご登場いただきましょう。
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Q:実践的なISOの内部監査員教育を行う上での必要な時間数、日数、標準的なカリキュラムを教えてください。
また、その際に、押さえておくべき大事なポイントは何かもあわせて教えてください。
A:ISOの内部監査員教育の時間数や日数、カリキュラムは組織や教育プロバイダーによって異なる場合があります。以下に、一般的なガイドラインとしての情報を提供しますが、具体的な要件やカリキュラムは組織のニーズやISO規格の要件に合わせて調整する必要があります。
必要な時間数と日数:
一般的に、ISOの内部監査員教育は2日間から5日間程度の期間を要することが多いです。これは、内部監査の基本的な原則や手法の学習、実践的な演習、実地での監査シミュレーションなどを含めた内容をカバーするためです。
標準的なカリキュラムの例:
① ISO規格の概要と要件の理解
② 内部監査の原則と目的
③ 内部監査の計画と準備
④ 監査手法と技法
⑤ 監査記録の作成と報告
⑥ 監査の後処理と継続的改善
⑦ 実地での監査演習やシミュレーション
大事なポイント:
内部監査員教育を効果的に実施するためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
1.ISO規格の理解: 内部監査員は、対象となるISO規格の要件や目的を理解している必要があります。規格の文書の解釈や適用方法について学習しましょう。
2.監査手法の習得: 内部監査の手法や技法を学び、効果的な監査活動を行うためのスキルを習得しましょう。質問の仕方、証拠の収集、情報の分析などが重要なポイントです。
3.コミュニケーション能力: 監査員は組織内のステークホルダーとコミュニケーションを図る必要があります。クライアントとの対話や報告書の作成など、明確で効果的なコミュニケーションスキルを身につけましょう。
4.実地での演習: 内部監査の実地演習やシミュレーションを通じて、実践的なスキルを磨きましょう。異なるシナリオやケーススタディを活用して、実際の監査状況に近い環境での演習を行います。
5.継続的な学習と改善: 内部監査は継続的な学習と改善のプロセスです。最新のISO規格の変更やアップデートに対応するために、定期的な教育や情報収集を行いましょう。
これらのポイントを考慮しながら、実践的な内部監査員教育を計画・実施することで、組織の内部監査能力を向上させることができます。
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1回再作成を指示しただけでこの回答にたどり着きました。
今日もAI先生は元気と感じます。
さて、ではこの回答を踏まえて、さらに深掘りのご説明をしていきますね。
内部監査員教育を考える際に、まずベースとなる部分は、自社内教育であっても外部教育であっても同じです。
教育対象者の知識、経験を認識し、その人々をどのようなプロセスで教育、訓練を行って、内部監査員としてデビューしてもらうか、という段取りを考えればよいわけです。
教育を受けるスタッフの知識、経験についての前提条件(ペルソナ設定)は今回の場合は最も一般的な例と思えるもので設定します。
- 入社10年程度で複数部署の経験あり。もう少しで管理職になっていく。
- ISOに関する知識は、入社時教育、その後のフォローアップ教育で、概要だけは学び、自社が認証を取得していることは認識しているが、規格要求事項についての勉強は特にしたことがない。
- 自社内の規程類については、自分が関わる業務についての理解はしているが、未経験分野については、読んだことはない。
- 規程類は、マニュアルが上位文書として存在し、その下位文書として各種業務規程の2次文書、詳細業務の手順書として3次文書が存在する。マニュアルの通読は1,2度程度で全貌を理解したとは言い難い。
- 内部監査が行われていることは認識しているが、今まで監査を受けるのもすべて上司が対応していたため、その手伝いはしたことはあるが、実際の受け答えをしたことはない。
- 教育については、まずは一つのISO規格について行う(会社がISO9001(品質)とISO14001(環境)規格について両方の認証を取得し、内部監査も統合として行うことがある、という状況であっても、という意味。両方同時対応できる統合内部監査員を要請しようとなると要する時間が増えるためです)
以上の前提条件のスタッフに係る教育訓練をどのように考えていくか、というスタンスでこの後、説明を進めていきますのでご承知おきください。
内部教育とするか、外部教育とするかは、さまざまな条件によりますが、それらの制約が一切なければ、断然、内部教育がお勧めです。
たんにお金がかからない、という問題ではなく、自社の実情に合わせたカリキュラムがくめること、そして講師も社内事情に明るいわけですので、学ぶ側にとっても言葉を含めて共有できることが多いため、抵抗感が少なくなる、というメリットが生まれます。
それらの対応ができる内部人材がいれば、考えるまでもなく、内部教育を選択すべきなわけです。
ですが、現実問題としては、それができる内部人材を抱えている企業ばかりではない、ということはお伝えしてよいでしょう。
ですので、外部の研修機関が個人で講師やコンサルティング業務を行う人まで含めれば、多数存在するということになります。
外部の研修を利用するメリットは、専門家としての実績により、短時間でコンパクトな研修を受けることができ、ある一定レベルまでの教育訓練はお任せできる、という安心感を含めた成果への期待、ということになります。
お金はかかりますが、それらをゼロから社内で作り上げるとなると、相当の月日を要する、あるいは外注して手伝ってもらうのであれば結局お金がかかる、ということですので、すでに定評ある外部研修を利用する価値は、社内での説明、説得という観点でも十分に一考の価値があるはずです。
そして次に考えるべきは、そのレベルの人をどこまで引き上げるか、つまり能力を身につけてもらうか、というゴール設定です。
内部監査の現場に出ることができる、とは言っても、いきなり一人でどんどん内部監査が進められるようになるレベルまで育て上げたいのか、ベテランの人の横について、内部監査がどのように行われているかを理解できるように、そして場合によっては、少しだけ分担を受け持って実際の内部監査を行うことができれば良し、と設定するかによって、ずいぶんゴールレベルが異なります。
もちろんその中間レベル、という設定もあるわけですので、まずあなたの会社ではどのようにその部分を考えるかを明らかにすることが大事な一歩になります。
多くの組織では、内部監査を行う際には、二人(少数ながら3名以上のケースもあり)一組になって行うことが多く、新しく内部監査員になる人が出た場合は、ベテランと組むケースがほとんどです。
そうなると、ゴール設定としては、上記で2つの例を挙げましたが、その後者の見習い監査員としてデビューできればよし、ということになります。
そこまで行き着くと、AI先生が最初に情報提供してくれた、教育にかける日数についての算段に入れる状況となります。
前提条件を含めた質問をしなかったために、AI先生の場合は、いきなり2~5日程度が必要、という回答から始まることとなってしまいました。
補足をさせていただきました。
さて、では実際の日数ですが、事前知識(経験も)なし、そしてゴールレベルはとりあえずベテランについて動くことができる、ということで考えれば、標準日数は2日間です。
理想的には3日間かけることができると素晴らしいのですが、どの企業も社員研修はあくまで仕事として行うわけですから、研修受講期間中は、業務上の戦力ダウンは避けられません。2日間であればやむなしと思えても、3日間も仕事をあけられたら困る、となる組織が大半です。
以前は、テクノファでも内部監査員養成の3日間研修を実施していましたが、ある時期から、とても3日も業務を離れることはできない、というお客様のご意見がだいぶ聞こえてくるようになり、開催を断念した経緯があります。
基本、それらの研修は1週間ごと、というような設定ではなく、連続する2日間、あるいは3日間としてコース設定をしていたこともあって、今は2日間研修だけになってしまいました。
受講される方にとっては正直、2日間研修はゆっくり考える時間が取れず、どんどん進んで行ってしまう部分もありますので、ついていくのが大変、という思いは、私も講師を自らしていて感じます。
ですが、繰り返しになりますが、業務を離れて集中して研修受講の環境を整える、という点からは2日間の設定は、ちょうどよい、と感じています。
ではもっと短くして1日ではできないものか、というお声も聞こえてくる気がします。
できるかできないか。
結論から申し上げると「できます」。
2日間かけて丁寧にお伝えする部分をはしょる形になりますが、1日に短縮して研修を実施することは可能です。
では、なぜ2日間の研修カリキュラムを基本とするのか、その方が時間も必要だし、外部研修であればお金もかかるではないか、という声が聞こえています。
当然のご意見ですね。
その理由、背景は、ゴールレベルの違いになります。
ベテランの方について、始めて内部監査をするうえで、足手まといにならないレベルに何とか仕上げる、ということであれば1日でも可能は可能です。ただし、あくまでそれは業務経験がしっかりある方、という前提条件は付きます。
しかし、1日の短縮型研修では、ベテランの人から、おお、そこまでできるな、次回はもう一人立ちだね、と言われるくらいのパフォーマンスを初回の内部監査から行うことはなかなか厳しい、ということと、業務経験の浅い人にとっては、何となくわかったけれど、自信をもって内部監査の現場に入っていく、ということには1日研修ではなかなか引き上げきれない、というのが実態です。
しかし企業側のご要望として、予算も時間も取れないので、何とか1日でやってくれ、と言われれば、それは研修機関としては受けざるを得ない、という力関係の問題もあります。
そのあたりについては、なかなか紙面ではお伝えしきれませんので、どうしても気になる方は、直接面談でのアドバイスをさせていただきますので、お問い合わせください。
AI先生からの回答のほんの入り口部分の解説をしただけですが、だいぶ長くなってきましたので、本日はここまでとさせていただきます。
それ以外の部分については、とても良い感じでAI先生の回答はまとまっています。若干肉付けしたい部分は次回にご説明をさせていただきます。
本日もありがとうございました。
(了)