ISO内部監査員についての説明を前回から始めました。

 

内部監査員になっていくためのステップを前回はご説明するとともに、最終的には、第三者による資格付与云々ではなく、組織としてその人の力量認定をどのように行うかが大事なポイントになる、ということの解説をしました。

 

今日は、そうは言っても、第三者による資格制度が存在するなら、活用してみたい、という方もおられるので、そちらにまで話を広げていきたいと思います。

 

 

さて、いつも通り、AI先生に聞いてみました。

 

========================================

Q:ISO内部監査員の資格を取得したいと思っています。社内では何も機会が存在しません。どうすればよいか具体的に日本国内の状況を踏まえて教えてください。

 

A:日本国内には、ISO内部監査員の資格を取得するために様々な方法があります。以下にいくつかの方法を紹介します。

 

① 資格取得講座に参加する

内部監査員の資格を取得するためには、まずISO 9001の内部監査員講座を受講する必要があります。日本には、資格取得講座を提供する研修機関が多数存在します。先程も紹介したように、研修機関によってカリキュラムや実績は異なるため、自分に合った研修機関を選ぶことが大切です。

 

② 資格取得試験を受験する

ISO内部監査員の資格取得試験は、JABが認定する認定機関で実施されます。試験は英語で行われ、試験に合格することでISO内部監査員の資格を取得することができます。試験に合格するには、ISO 9001の内部監査員講座を受講し、一定の内部監査実務経験を有していることが必要です。

 

③ オンライン講座を受講する

最近では、オンライン講座も増えてきています。オンライン講座であれば、場所や時間にとらわれずに学ぶことができるため、忙しい方や遠方に住んでいる方でも受講しやすいでしょう。ただし、オンライン講座であっても、研修機関の質や評判には注意が必要です。

 

以上のような方法がありますが、資格取得講座や試験は一定の費用がかかるため、会社からの支援を受けることができるか、自己負担になる場合は予算を確保しておくことが必要です。また、資格取得には一定の時間や労力を費やす必要がありますが、その分キャリアアップやスキルアップに繋がるため、自己投資として考えると良いでしょう。

========================================

 

 

 

う~ん、ダメではないのですが、これでは期待した答えとはずいぶん遠いものですね。

繰り返しになりますが、内部監査員の任命は、基本的には組織(企業)が独自に行えばよいので、外部で資格を取る必要は全くないのですが、社内に前例がない、切り込み隊長としての役目を果たさなければならないのであれば、外部の機関が運営している資格制度を活用するのは一つの方法です。

 

その上で、資格取得講座、というものは明確なものは日本では存在しません。

テクノファで開催している内部監査員養成のセミナーは、JATA公認、という冠が付けられていますが、JATAというのは研修機関の集まりの業界団体で、公的なものではありません。

 

そしてテクノファの講座に参加し、無事最後の試験にもパスすれば、合格証明書が授与されますが、この証明書がそのまま資格取得につながるものではありません。

 

つまり、内部監査員に関する資格試験は存在しないのです。

故に、少々意地悪ですが、AI先生に追いうちの質問を投げかけてみました。

 

 

 

========================================

Q:ISO内部監査員の資格取得試験はいつ、どこで開催されていますか。具体的な日程、場所、費用などがわかりますか?

 

A:ISO内部監査員の資格取得試験は、JABが承認した独立した認定機関が実施しています。試験日程や場所、費用は認定機関ごとに異なりますので、受験を希望する認定機関のウェブサイトやお問い合わせ先を確認する必要があります。ただし、一般的には定期的に試験が開催されており、試験費用は約5万円から10万円程度が一般的です。試験に合格することで、ISO内部監査員の資格を取得することができます。

========================================

 

 

 

はい、これ以上AI先生をいじめても仕方ありません。

そもそもJAB(日本適合性認定協会)は日本のISO認証制度を支える元締めの立場での活動をしており、審査を行う認証機関の認定業務が主たるお仕事です。

 

それに加えて、審査員の評価登録を行っているJRCAという要員認証機関の認定も行っています。

 

今のAI先生の実力は、この認定機関の立場と、認定を受けている要員認証機関の違いが分かっていないということになります。

 

そしてJRCAの主たる業務は、第三者審査を行う審査員の評価登録なのですが、派生業務として、内部監査員の評価登録も行っています。

つまり、JRCAに申請を出し、無事通れば、内部監査員としての資格を保有している、と日本国内では言うことができるようになります。

 

JRCAの内部監査員の評価基準等については下記のリンクをご参照ください。

MS内部監査員 | 日本要員認証協会(JRCA) (jrca-jsa.or.jp)

 

そして新規に申請をしたい場合は、実務経験と該当する研修コースの修了が必要になります。

もちろん、お金も必要になりますけれど。

 

 

 

さて、では研修を受けなければならない、となれば、その研修はどこでやっているの?

となりますね。

 

残念ながら、テクノファでは実施していません。

えっ、どうして、と思っていただければ有難い限りですが、

 

簡単に申し上げれば、その需要がないからです。

 

何度も繰り返しますが、内部監査員の任命は組織自身が行えばよいので、資格取得の有無は全く関係ありません。

 

テクノファでもそのように説明していますし、現在では組織の方々もそれは十分ご理解いただいているので、問い合わせもなくなりました。

 

 

従って、残念ながら、JRCAに登録している内部監査員の方の数はわずかなものに留まっています。

その資格をもっているから、と言って転職で有利に働くこともまずないでしょう。

 

そして研修コースを開催している研修機関もごくわずかです。

MS内部監査員研修コース | 日本要員認証協会(JRCA) (jrca-jsa.or.jp)

 

それもQMS(品質)の研修機関しか存在しません。

環境、ISMSに至っては、どこの研修機関も研修コースを開催していませんので、資格取得したくても実質的にはできない、ということになります。

 

 

 

AI先生がここまで回答するようになると、ある意味わたしたちも脅威に感じますが、まだまだ日本においては、通常検索のレベルを超えるには、ニッチな分野になればなるほど時間を要するのではないだろうか、と感じています。

 

 

 

 

さて、今日はもう一つ、内部監査員に関する資格制度についてお伝えしたいと思います。

 

正確な情報が確認できないのですが、2000年代の前半に、業界内で内部監査員に関する検定制度と立ち上げよう、という動きが生まれ、検定制度が実際に生まれました。

当時の名称ももう曖昧な記憶ですが、ISO検定、内部監査員検定、というような感じの名称で、それなりに受検者も出た、という記憶です。

 

しかしながら、これも先ほどの理由と同じで、受けなければならない、というものではないため、なかなか広がりませんでした。

しかしながら、制度自体は今でも存続しています。

 

内部監査員は、組織内での評価登録のため、対外的にはなかなか価値を高く評価することへの客観性が不足しているため、難しい部分があるわけですが、それを補う位置づけで、この検定制度も今でも続いています。

 

その名称は

 

「マネジメントシステム監査員検定」

 

マネジメントシステム監査員検定 (juse.jp)

 

 

品質管理、品質保証の世界で日本をリードしてきた団体である、一般財団法人 日本科学技術連盟が主催する形で、検定が行われています。

 

中級と上級の資格に分かれています。

(以前は1~4級という区分でした)

 

検定対策セミナーも行われていますので、一定レベルでの需要はあろうかと思います。

残念ながら過去の受検者数、資格保有者数等の情報は探し出せませんでした。

 

個人受検ではなく、団体受検もありますので、組織での内部監査員資格付与に客観性を持たせたい、という方であれば、検討してみる価値があるでしょう。

 

 

 

残念ながら私自身はこの検定試験、受検したことはないので、それ以上の詳しい内容についてのご説明はできません。

 

パンフレットに出ている中級の例題を見ると、それなりに勉強しておかないと合格はできない(特に用語についての理解が必要なように感じます)感じがします。

 

こうやって改めて確認していくと、もっと業界をあげてこのマネジメントシステム監査員検定制度を盛り上げていかないといけないのかもしれませんね。

 

次回、日本科学技術連盟の方とお会いする機会があった際には、この検定制度についての議論もしてみようと思いました。

 

内部監査員の資格や教育でお困りのことがあれば遠慮なくご質問いただければと思います。

 

私自身も内部監査員養成のセミナー講師をするようになって、それなりの年数が経ちました。

あちこちの企業様からご指名をいただいて講師をさせていただく機会もずいぶん昔より増えました。この先も、この分野でのお手伝いをさせていただきたいと考えています。

 

(了)