本文の前にご案内です。

 

ISO審査員としての活躍を考える方向けの講座を作りました。

状況によってどの講座がよいか迷われるようであればお問い合わせください。

 

 

 

 

 

 

 

GWのお休みで少々間が空いてしまいました。

今日から再び、ビジネスモード再突入ですので、頑張っていきましょう。

 

 

 

前回は、ISO審査員として活動していく魅力の中でも、報酬について掘り下げていきましたが、審査員は不足しているのかあるいは余っているのか。需要と供給のバランスがどうなっているのかを今回は掘り下げてみます。

 

 

いつものようにAI先生に登場いただき、下記のような質問から回答を得ることとなりました。

 

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Q:日本のISO審査員の需要について教えてください。

審査員は不足しているのでしょうか、それとも余っているような状況なのでしょうか。

 

A:日本においては、ISO審査員の需要が高い状況にあります。ISO規格に準拠することが求められる業界や企業が増えており、それに伴いISO審査の依頼も増加しています。また、国際的な競争が激化しているため、国際規格に対応した品質マネジメントシステムを構築し、認証を取得することが、企業にとってますます必要不可欠なものとなっています。

 

その一方で、ISO審査員の資格を持つ人材の数は、需要に比べて不足しているとされています。具体的な数字は公表されていませんが、国内外で求人募集が行われていることからも、人材不足の状況がうかがえます。このため、ISO審査員の養成や、スキルアップの研修に力を入れる企業や団体が増えてきています。

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生成AIのすごいところは日本語のレベルの完成度の高さにあることは間違いありません。今回の回答を読む限りにおいてもそのことは強く感じます。

 

しかし問題はその中身です。

今回の内容も、間違っているとまでは言えませんが、適切かといえば、残念ながらそのレベルにはない、というところです。

 

もう一つ追加の質問を投げかけてみました。

 

 

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Q:日本国内のISO認証組織数はどんどん減っていると認識しています。それでも審査員は不足しているのでしょうか。

 

A:日本国内におけるISO認証機関数は、過去に比べて減少傾向にあります。しかし、ISO認証取得の需要は増加しており、需要に対して認証機関の数が不足していると言われています。そのため、認証機関が複数の審査員を抱えることで、必要な審査員数を確保するようになっています。また、認証機関は審査員の研修・育成にも力を入れており、ISO審査員の需要に応えるために、質の高い審査員を育成することが求められています。

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ますますピントが合わなくなってきた、というのが正直なところです。

 

まず、審査を行う認証機関は、資格返上を行う機関が一時期出たこともあり、昔に比べれば

減りました。

故に、冒頭の文章はそのとおりなのですが、認証取得の需要が増加している、というのはいただけません。

もちろん一概には否定出来ないのですが、それは分野(セクター)によっても動向が違うからです。

 

ISO認証のマーケットで一番存在感の大きなものはISO 9001の品質マネジメントシステムです。そして次が、ISO 14001の環境マネジメントシステムです。この2つの規格で認証の大半を締めているとっても過言ではないほどの広がりです。それ以外に情報セキリティのISMS(ISO/IEC 27001)、労働安全衛生のISO 45001等に分野が分かれています。

 

この中で、ISMSについては認証を取得する組織は今でも増え続けています。

そのため、ISMSの審査員であれば、他の分野と比べて審査員を求める声は大きく聞かれます。

 

 

では、主要分野である、ISO 9001(品質)やISO 14001(環境)の分野での実情はどのようなものなのでしょうか。

 

もう一つAI先生に質問を投げかけてみました。

 

 

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Q:具体的に審査員募集をしている日本国内で活動している審査機関を教えてもらえませんか。

 

A:日本国内で活動しているISO審査機関は複数あります。以下はその一例です。

 

JQA(日本品質保証機構):https://www.jqa.jp/

JACO(日本能率協会品質認証機構):https://www.jaqca.com/

BSIグループジャパン:https://www.bsigroup.com/ja-JP/

DNV GLビジネスアシュアランスジャパン株式会社:https://www.dnvgl.jp/

センチュリー・システムズ・アソシエイツ株式会社:https://www.csaj.co.jp/

JMAC(日本マネジメントシステム認証機構):https://www.jmac.jp/

JSA(日本規格協会):https://www.jsa.or.jp/

UL International Japan:https://www.ul.com/jp/ja

ただし、ISO審査員になるには、これらの認証機関に直接応募するのではなく、JAB(日本認定機構)を通じて登録する必要があります。

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もうここまで来ると、全く使い物にならない、と言わざるを得ない状況となりました。

URLもその会社に行き着くもののあれば、行き先にはページが存在しない、というところも出てきます。

 

 

最後の文章にあるJABの日本語名称の全くのデタラメです。

まだまだ調べ物には、AI先生では役立たない、と言わざるを得ませんでした。

これであれば、普通にグーグルなどでISO審査員最情報として検索をかけたほうがよほどまともな情報が得られます。

 

さて、AI先生から離れて、ISO審査員の募集状況をどうやって調べていくのがよいか、という部分に踏み込みましょう。

 

ISOの審査員になるにはISOの審査を行っている会社(機関)との契約を結ぶ必要があります。

ではISO審査を行っている機関の一覧があれば便利だな、ということは感じていただけると思います。

 

そこで登場するのが先程もしるした JAB です。

 

JABの正式名称は、公益財団法人 日本適合性認定協会です。

ホームページは、

公益財団法人 日本適合性認定協会 (jab.or.jp)

 

日本のISOの元締めとも言える機関です。

ここから認定を受けて日本における審査活動を行っている機関がISO審査員を採用してくれるわけです。

 

 

そしてその一覧は、

認定されたマネジメントシステム認証機関 | 公益財団法人 日本適合性認定協会 (jab.or.jp)

こちらです。

2023年現在、35の機関がJABから認定を受けて活動をしています。

 

 

ISOの審査機関はこのように上部団体から認定を受けることで、活動の健全性、信頼性を担保しているとともに、日本でISO認証を取ったものが全世界でその価値を認めらることにもつながっています。

 

相当に手間はかかりますが、これらの機関、一つ一つのサイトを訪問して、審査員を募集しているかどうかをチェックすることで、市場全体でのISO審査員の不足感が感じ取れると思います。

 

総論ベースで私の理解をお伝えすると、

 

ISOの審査員は、現状においてはそれなりに充足しているので、不足している、という表現は適切ではありません。

 

しかし高齢の審査員も多いことから、将来のことを考えると審査員は不足している、という認識で間違いありません。

多くの審査機関で、審査員募集を活発化していることは間違いのない事実です。

 

 

昔であれば経験者しかホームページの採用情報では乗っていなかったものが、今では、未経験者、つまりISO審査員補の資格さえ持っていれば、審査実務はなかったとしても書類選考から実際の面接に入ることができますよ、という案内が各社のサイトで出ています。

 

内部監査の経験もない方であればさすがに書類選考も通らないかもしれませんが、それでも十分な業務経験があり、活躍が期待できそうな人材であれば、面接までは進むかもしれません。

 

ただし、そうはいっても、分野ごとに審査員の不足感は異なります。

 

 

一番審査の数が多いISO 9001であれば、審査機関によっては、このような業務経験があれば、と出身企業の業界によって差が出てきます。一方で、そのような前職の経験とは関係なく、審査に向く人材であれば、というスタンスでいる審査機関もあります。

 

このあたりは、ご自分に近いところがどこなのか、今所属の企業との関わりを踏まえながら絞り込んでいく必要があります。

 

製造業を得意としている審査機関、建設業ばかりを相手にしている審査機関、というような強い特色を持った機関もあれば、製造業も建設業もサービス業もオールラウンドに取り組む総合審査機関もあります。

 

ここは少し業界研究が必要になる部分です。

 

 

あとは、食品分野の審査員はずっと不足しています。今は一時期ほどの逼迫感はなくなりましたが、一時期は業界全体をあげて、審査員候補者を探している、という感じがするときすらありました。

 

 

どの世界でも同じでしょうが、ときどきによって、求める人材の質、量はことなります。ただし、この先数年は、将来に向けてのISO審査員を募集する活動は多くの審査機関で継続するだろう、と思います。

 

以前も記したように、多くの審査機関で報酬が昔と比べると相当に低くなってしまいましたので、お子さんを抱えている世代の方にはなかなか向きませんが、子育ても一段落、さあこの先長く働く上で、やりがいのある仕事は何かないかな、という感じで新たな挑戦をしたいと考える方には、ISO審査員はチャレンジしがいのあるお仕事です。

 

ぜひ調査、検討してみてください。

 

 

ISO審査員に関する解説は、一旦今回で一区切りとします。

次回からは、ISOの内部監査員についての解説を、今まで同様AI先生を活用しながら進めていこうと思います。

 

(了)